トランプ関税ショックの出口は広そうだ

アメリカ東部時間の4月9日0時に発動したトランプ関税は、僅か13時間後に90日間停止されました。

 

トランプ大統領はパニックに陥っているようです。関税停止を戦略的ディールだと解説する向きもありますが、そんな馬鹿なことがあるとは信じられません。早くもトランプショックの出口が見えてきたように思います。

 

これまでも、アメリカに対する信望は失われつつありました。アメリカは、17年前に史上最大の経済クラッシュであるリーマンショックを引き起こしました。中東戦争や中国やロシアの侵攻に対する態度でも世界を失望させました。今回のトランプ関税ショックで、世界からのアメリカへの信望は、さらに大きく毀損しました。

 

ニューヨークの夕日
ニューヨークの夕日

アメリカがイギリスを抜いて世界一の経済大国になったのは1870年(日本では明治3年)のことでした。その後の150年の長きに渡って、アメリカは世界一の超大国 であり続けてきました。

 

しかし、経済力世界一の座は購買力平価基準では、既に中国に追い抜かれています。USドルベースで中国を抑えているのですが、アメリカの世界シェアは、25%まで下がっています。

 

トランプ関税ショックの出口は、日本の産業界が、日本国内を含めたアメリカを除く世界の75%へ着目することでしょう。

中国は既にアメリカと肩をならべています。インドがドイツと日本を抜いて世界3位が目前です。EU欧州諸国はもちろん、既に先進国あるいはその一歩手前にあるアジア諸国、豊富な資源を有する中東や中央アジア諸国、発展途上の中南米、人口が増加していくアフリカ諸国など、アメリカ以外の世界は広大です。

 

幸いにして、近年の日本産業は広大な新興国市場にマッチする方向に変わってきています。あまりに高品質な方向に進化して、島国の外に市場を見いだせないガラパゴス化と言われたことへの反省が身に染みてきました。

 

四半世紀前に誕生したSuicaなどの交通系ICカードは、未だにハイスペック過ぎて世界では通用しません。プラズマディスプレイの応答速度がいくら早くても、映像を見る側の人間の目はそんなに優秀ではありあません。

 

日本の産業は、TPOに合せた技術・商品・サービスを提供できるように変わってきています。半導体分野への投資が話題ですが、これまでの日本であればハイエンドな製品に強くこだわっていたかもしれません。最近の日本のものづくりは、顧客に応じて、ハイエンドなのか、ミドルエンドなのか、ローエンドなのか、選択するようになってきています。

 

少しの未来には、トランプショックはアメリカ以外の国にとって、よい刺激になったと評価されるかも知れません。頑張ろう!日本&アメリカ以外の国