ポスト真実の政治(post-truth politics)、ポスト事実の政治(post-factual politics)という言葉は、今回のトランプ関税劇場で完全に定着しました。
禁じ手ですが、Wikipedia「ポスト真実の政治」から引用します。
オックスフォード大学出版局は、2016年の「今年の一語(Word of the year)」に、「ポスト真実(post-truth)」を選びました。その際、ポスト真実を「世論を形成する際に、客観的な事実よりも、むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況」を示す言葉だと定義しました。

2016年は、6月にイギリスがEU離脱(ブレグジット)を選択した国民投票がおこなわれ、11月にトランプ政権の1期目につながるアメリカ大統領選挙がおこなわれた年です。
欧州と米国で、エビデンスが全く無い主張や、あやふやな風聞に基づく説得だけでなく、あからさまな嘘や出鱈目が国民の選択に大きな役割を果たしました。
そして、今年(2025年)1月に超大国アメリカで2度目の政権を担ったトランプ大統領は、側近たちと一緒になって、誰にもわかるような嘘をつき、いい加減な約束をしては、間をおくことなくその約束を違えています。
その結果、まじめに働いている世界中の多くの人が被害を受けています。そして、大国アメリカは大いに恥をかき、経済的な損失以上に大切である信用を完全に失いました。
2025年の世界は、政治の世界に限らず、真実と理性から秩序が解放された「ポスト真実の時代」に入ったと言えそうです。
この要因には、新型コロナのパンデミック対応にともなう科学への不信の高まりがあります。
国際社会が秩序を取り戻すには、自然科学の力が必要です。自然科学の法則を理解できる人材の育成、その法則に従う合理性を伝えられる組織、そして何より自然科学そのものの進化が大切だと思います。人々は秩序の復権を求めています。