日本の法律には、55くらいの基本法があります。農業基本法を起点にして、日本の農業の歴史を確認してみます。3回シリーズの予定。
農業基本法は1961年(昭和36年)にできていますが、1999年に全部改正され「食料・農業・農村基本法」と名称を変えました。そして、昨年(2024年)改正されて改正食料・農業・農村基本法となっています。

日本の農地改革(地主が農地を保有して小作人が耕作することから、土地開放を進めて自作農へ転換させる)は、太平洋戦争下での食糧増産を目的として急速に進みました。
終戦後に農業関連の法整備が急速に進みます。苛烈な戦後インフレもあって地主制は1950年頃までの戦後混乱期の間に事実上崩壊します。
1950年代の戦後復興期に入り、日本経済は農業部門を含めて急成長していきます。1950年代後半には後に高度経済成長期と呼ばれる時代を迎えます。
※1956年が「もはや戦後ではない」・1960年に池田首相の「所得倍増計画」
しかし、農業部門の成長は非農業部門に対して相対的に劣りました。さらに、海外との交易が増えたことで、日本の農業の国際競争力の弱さが強調されるようになりました。
農業基本法はこのような背景から1961年に施行されました。その目指すところは、端的に言えば農業の産業化(近代化と合理化)です。
農業生産は収益が見込める農産品を選択的に拡大していくこと、農業経営の規模の拡大や機械化を進めること、農産物の価格を安定させて農業所得を確保すること、農家の自立経営を促すこと、農業者の協同組織を整備すること、農業白書等を通じて広く国民に農業の状況を知らせることなどが示されています。
農業基本法の考え方は、今振り返っても的をついています。
しかし、農業基本法ができた1960年以降、日本は本格的な高度経済成長期に入り、工業化がさらに進み、農村から都市への人口移動が加速していきます。
明日に続く!
