公立小中学校の空調設備設置はメンテと更新も頭に入れておいて

政府は、公立小中学校の体育館への空調(冷房)整備率を、2035年に95%とする目標を掲げています。

 

北国や標高の高い場所にあって冷房の必要が無い小中学校とか、数年で統廃合される予定といった小中学校を除いて、事実上全ての小中学校に設置するわけです。子どもの学習という意味だけではなく、災害時の避難所とするのに空調が必要であるという理屈です。

 

公立学校の体育館に空調整備
公立学校の体育館に空調整備

公立小中学校の空調整備は急速に進んでいます。2018年9月に1.4%だった設置率は、2024年9月には18.9%に上昇しています。

 

東京都では、2024年9月時点の設置率が既に88%を超えています。この他で設置率が高いのは、山形県が50%、大阪府42%、栃木県41%などです。

山口県は2.8%と設置率は低めです。設置率が低い(1.0%未満)のは、長崎県0.4%、佐賀県0.7%、富山県0.6%などです。

 

公立学校の体育館に空調設備を設置することで、ちょっと気になるのは点検・メンテナンスと適切な更新です。公共施設の省エネ診断をすることがありますが、メンテナンスも更新もなかなか厳しいように思えて心配です。

 

公立小中学校でも設置される空調機器はフロン法の規制対象です。適切な点検・メンテナンスをすることが求められます。

公立小中学校の場合は、日常の簡易点検は教諭や事務員さんがして、定期点検は業者に依頼することになると思います。日本では空調機器の冷媒(フロン類が)地球温暖化の大きな要因になっていますから、しっかり管理が必要です。

 

 

また、文科省の資料では空調機器は15年で更新となっています。15年は少し長くて、性能を考えれば15年以内に更新してもらいたいところです。

 

現在、集中的に空調機器を設置しているということは、更新時期も集中します。もともと自治体財政は厳しいことから、空調機器の更新が遅れてしまわないか心配です。

少子化はまだまだ予測を超えて進んでいくでしょうから、自治体が空調機器の更新を躊躇する事態も十分に考えられます。

自治体の予算は単年度で変わりますし、首長さんも代わります。空調設備についての中長期的な資金の手当てを、しっかり計画しておいて欲しいと思います。