年をとって、ますます早起きになったので、朝8時台にテレビを見ることは稀です。
久しぶりにテレAのモーニングショーでT川さんの姿を見ました。懐かしいなぁと思ったら、相変わらず、視聴者に誤解を与えるようなことを口にしています。この方が口に出すことは、いつも妙なバイアスがかかっています。

今日の話は「自動車の場合、アメリカから日本への輸出には関税はかかっていない(正しい)。アメリカは日本の非関税障壁を問題視している(少し正しい)。日本からアメリカに輸出される場合には消費税がかからない(正しい)。消費税が非関税障壁だとアメリカが言っている(少し正しい)。自動車メーカーに年間2.2兆円もの消費税還付がされている(少し正しい)。」というもの。
これを聞いた視聴者は、日本がアメリカ向け輸出でダンピングをしている。輸出しているトヨタやホンダが大儲けしている。日本は悪くて、アメリカに迷惑を掛けている。といったように錯覚をします。
消費税はその国の消費にかかる税金なので輸出した場合は預かることができません。
そこで、仕入したときに仮払した消費税が還付されるわけです。これは当然のことで、もしなされないならそれこそが不正義です。
他国に輸出したものには、その国の税法にしたがった税金がかかります。
アメリカ以外のほとんどの国では、それぞれの国の税率で消費税(VAT)がかかります。アメリカは国としての消費税がありません。代わりにたいていの州(他の税で税収をまかない売上税がない州が5つあります)で売上税がかかります。
カリフォルニア州では税率7.25%です。これに加えて、市とか郡とかの売上税が付加されます。まぁ、消費税と変わりません。そして、輸入品であっても消費者に売られるときに売上税がかかります。

アメリカから輸出されたものには、輸入した国で売上税(アメリカの税)はかかりません。代わりに、輸入国の税金(日本なら消費税)がかかります。
要するに、アメリカの消費者が日本からの輸入品を購入しても日本に消費税を納めることはなく、日本の消費者がアメリカからの輸入品を購入してもアメリカの州に売上税を納めることはないわけです。二重課税にならないという意味。
関税に消費税や売上税がかかるのは二重課税ではないのか?という疑問もありますが、関税は税ではなく、輸入したものが負担する原価です。このため、関税にも消費税や売上税がかかります。
アメリカが25%の関税をかけて、図のように385円だった商品が481円に値上がりしたら、アメリカ国民は買えなくなります。
輸出する事業者も困りますが、アメリカ国民はもっと困ります。さらに不安なのは、トランプさんの下では、コロコロとルールが変わりそうなことです。無期限の買い控えやつくり控えにでもなると、皆がもっともっと困ります。