トランプ大統領の暴走か止まらないですが、アメリカ国民はどう思うのでしょうか?
現在のアメリカの繁栄にはいくつもの理由があります。その一つで、もしかしたら最大の要因はアメリカ本土が南北戦争(1865年終結)以降、一度も戦場になっていないことかもしれません。ヨーロッパも日本も韓国もロシアも中国も・・、世界の主要国は第一大戦や第二次大戦でその国土が戦場となり、大きな打撃を受け疲弊しました。これによって、アメリカの地位は相対的に、しかも一方的に高まりました。
トランプ大統領が強気の姿勢で各国にディールを持ち掛けています。
昨日は「我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守る必要がない」と語り、日米安全保障条約への不満を表明したというニュースが流れてきました。
アメリカ本土を直接攻撃した唯一の国は日本です。1941年12月の真珠湾での日米開戦の2週間後には、日本の潜水艦9隻がアメリカ西海岸沖に展開して、米国の艦船を次々と沈めました。翌年2月には潜水艦からロサンゼルス市の北にある製油所を砲撃して炎上させています(最初の絵)。これは83年前のことです。
日米安全保障条約がなかったとしても、第二次大戦後80年の長きに渡ってアメリカ西海岸に脅威が訪れなかったと想像できる人は、とても無邪気です。現代の原子力潜水艦は半永久的に潜航可能で、第二次大戦の日本の潜水艦の3倍以上の速度で移動します。
また、アメリカ東海岸が安心できているのは、トルコが黒海を、スペインが地中海、北欧諸国がバルト海、イギリスやフランスが大西洋を抑えているからです。これがNATOです。
もちろん、今では大陸間弾道ミサイルで直接アメリカ本土を空爆することが可能です(2枚目の写真)。しかも核弾頭を使うこともできます。
ソ連と北アメリカ大陸は北極海を挟んで向かい合っています。アメリカ本土を守っているのはカナダです。逆に、中南米にある反米勢力からの脅威は今のところメキシコが防いでいます。
恩を仇で返すようなトランプ大統領の関税政策がアメリカの利益になるとは思えません。
海洋国家アメリカですが、今や造船業の規模は中国の1/200です。世界の造船業は中国・韓国・日本の3か国で寡占されています。日本製鉄のUSスチール買収でも明らかなように、アメリカでは高品質な鉄鋼がつくれません。
トランプ大統領がいくらいきんでいても、同盟国との関係を壊しては、アメリカ・ファーストは達成できないのです。
さらに、アメリカの分断を加速させているトランプ大統領は、自らを支持する勢力によって連邦議事堂が襲撃する事件を起こしました(3枚目の写真)。
少なくとも死傷者150名を出したこのクーデター事件によって、アメリカ国内でテロや反乱を起こすハードルは下がっています。
アメリカで内戦が起こり拡大する懸念は高まっています。アメリカには人口の1.3倍の数の銃器が市民の手にありますから、争いがエスカレートしたときの危険性は日本とは比較になりません。
トランプ大統領になって、外からか内からかはわかりませんが、アメリカ本土が戦場になるリスクは急激に高まっています。アメリカ軍は名実ともに世界最強ですが、基本的に国の外で戦う攻めの軍隊であって、本土防衛の力はあまり高くないとも指摘されます。
そのとき、アメリカはどうなるのでしょうか?
韓国の尹大統領が先行しましたが、トランプ大統領がアメリカ全土はともかく地域を区切ってでも戒厳令を施行するような事態が起こる可能性は、このままでは結構高そうです。
そうなったとしても、アメリカは変わるのか? もし変わるとすれば、日本はどうなるのか、どうならないといけないのか?考えどころです。