アメリカのトランプ大統領が、プラスチック製ストローへの回帰を指示する大統領令に署名したというニュースが、先日ありました。
就任して1カ月でトランプ氏が署名した大統領令は100を超えています。歴代大統領と比較して2倍を超える勢いだそうです。
今回のトランプ大統領の大統領令は、「プラスチック製ストローを紙製ストローに置き換える政府の取り組みを終了させる」というもので、即時に発効されました。

トランプ大統領は、大統領令に署名した際に、その理由を紙ストローに耐久性が乏しいことだと主張しました。これ自体は、多くの人が同意できることだと思います。
紙ストローの耐久性を高める工夫はいろいろあるようですが、現実にはあまり成果をあげていないと思います。紙ストローを使うなら、できるだけ早めに飲み干そうとする人が大半でしょう。
一方で、プラスチックストローの課題は、耐久性がある過ぎることです。世界の海洋中に存在するプラスチックごみの総量は1.5億トンを超えると推定されています。このまま放置すれば、2050年には海洋中のプラスチックごみは今の2倍となり、魚の重量を超えるともいわれます。
また、海に流れ込んだプラスチックは主に紫外線の作用で細かくわかれ(マイクロプラスチック)、魚など生物の体内に蓄積されていきます。海洋生物に深刻な打撃を与えると同時に、食物連鎖の頂点にある人間の健康への影響も懸念されます。
完全ではないですが、一つの解決策が生分解性プラスチックの利用です。土壌や海洋に棲んでいる微生物によって、数十日から数百日で分解されるものです。カフェで飲料を楽しむ間の耐久性はあるが、環境中では耐久性が乏しいというものです。
現時点では、生分解性プラスチックにも多くの課題がありますが、今後の開発に期待される材料です。