企業献金禁止法ではなく、大会社献金禁止法にしたらどうか?

「企業・団体献金の禁止(まとめて企業献金禁止)」という提案には違和感があります。

 

立憲民主党が提出した法案では「会社、労働組合、職員団体その他の団体(政治団体を除く)は、政治活動に関する寄附又は政治資金パーティーの対価の支払いをしてはならない」となっています。つまり、企業献金の禁止ではなく、会社献金の禁止なんです。

 

バーチャルオフィスさんのWebサイトより
バーチャルオフィスさんのWebサイトより

企業と会社は似たようで異なる用語です。企業のほうが広い意味を持っていて、個人事業主も企業に含まれます。会社は会社法に基づいて設立された法人のことです。

 

立憲民主党は個人献金は禁止しておらず、むしろ推奨する立場です。個人事業主は個人として献金したり、政治資金パーティー券を購入してくださいということです。

 

私たち中小企業診断士が日頃お付き合いしている中小企業や小規模な会社は、仮に株式会社の形態で複数の株主がいたとしても、実質的には個人事業です。これらの会社の献金を禁止する意味はあまりなさそうです。

 

会社法では大会社を「最終事業年度の資本金が5億円以上または負債200億円以上」と定義しています。この定義に当てはまる会社は、日本には1万2千社あります。

一般に、企業とは大会社をイメージしますし、立憲民主党のターゲットも大会社からの献金禁止なんだろうと思います。名称を「大会社献金禁止」を提案すると変えてもいいようです。

 

それでは、大会社が政治献金をする場合、それは何の目的かということです。会社そのものが意思を持たないので、とどのつまりは会社とは誰のものかという議論に集約します。

 

大会社のほとんどが株式会社ですから、会社は株主(所有者)のものというのが一般的でしょうか?会社が献金するのは株主の利益を最大化するのが目的になります。

そうすると、海外のもの言う株主が支配するような大会社からの政治献金は怪しからん、という議論も一定程度の説得力があるような気がします。立憲の法案の「会社」を「海外株主が株式を所有している大会社」に限定してはどうでしょうか?

 

一方で、会社は株主のものではなく、会社は経営者のもの、会社は従業員のもの、会社は社会のもの、会社は会社のもの、いろんな考え方があります。

一度、整理してみたらよいかも知れません。