「特別な社会的接触の関係」色っぽくない_念のため

耳慣れない言葉を聞きました。「特別な社会的接触の関係」ってなんだ?

 

元請会社の下請労働者に対する安全配慮義務をいうときの用語です。元請会社が下請会社に仕事の一部を請け負わせる場合、下請会社は独立して作業をします。下請労働者への安全配慮義務を負うのは下請会社であって、元請会社は原則として義務を負いません。

 

現場パトロール
現場パトロール

但し、元請会社には管理している現場全体を安全に保ち、下請会社や下請労働者に対して作業の危険性を警告したり、安全な作業方法を指示する義務はあります。

 

元請会社がこれらの義務を忠実に果たしていた場合に、雇用や使用しているわけでもなく、作業指示もしていない下請労働者が労働災害に遭ったとします。

こういう場合でも、元請会社に安全配慮義務を求めることがあって、これは「特別な社会的接触の関係」があるかないかで決まるのだそうです。

 

「特別な社会的接触の関係」とは何か?ですが、どうも明確な定義はなさそうです。同じ現場で働く以上、社会的接触の関係にはあるわけですから、何が「特別」なのか?ということが問題です。

 

下請会社が完全に独立して仕事をしている場合もあるにはありますが、元請会社が作業や休憩の場所を提供したり、機械や工具を使わせているケースは多いと思います。その際に、例えば、機械の危険性を十分に伝えられていないことも考えられます。もしかすると、機械のコンディションが適当でなかったかも知れません。

そういった場合には「特別」な関係があると認められて、元請会社が安全配慮義務を果たしていないと判断される可能性がありそうです。

 

要するところ、元請会社、下請会社、孫請会社、すべてを含めて現場で仕事をする全ての会社や労働者の間には特別な社会的接触の関係があります。また、近年では元請会社の義務を幅広く認めるようになっているようです。

現実の現場では、義務や責任に過度にとらわれず、業者どおしの相互信頼を高めて、よい仕事をしていってほしいです。