日本製鉄によるUSスチールの買収にバイデン大統領がNO!と判定しました。
日本製鉄とUSスチールは、大統領の禁止命令は違法だとして裁判所に訴えるようです。今回の命令は、米国が孤立主義を強めることへの懸念とともに、日本政府の外交力の無さを露呈させました。この命令で最も得をするのが中国政府で、最も損をするのが米国民(とりわけ鉄鋼業界で働く労働者)であるという解説は腑に落ちます。
USスチールの2024年12月期決算予想は、売上高157億ドル(2.3兆円)、営業利益2.6億ドル(400億円)です。
2023年12月期の総資産は204億ドル(3.1兆円)、純資産は110億ドル(1.7兆円)でした。
日本製鉄はUSスチールを149億ドル(2.2兆円)で買収したうえで、老朽設備の改修に27億ドル(4000億円)を投資し、従業員に1人あたり5000ドル(75万円)のボーナス(従業員は今でも2万人以上ですから総額150億円超)を支給したうえで雇用を保証するという条件を提示しています。
大番振る舞いで逆に心配になりますよね?
日本製鉄(連結)の2024年3月期決算で売上高8.9兆円、営業利益7800億円。総資産10.7兆円、純資産5.4兆円、従業員数11万3千人(単体2万8千人)です。
日本製鉄側からみると、かなり思い切った提案をしているといえますね。
第二次トランプ政権がはじまって、これからもやっかいなことがいろいろと多そうなアメリカ政治です。USスチールが世界一だったのは50年も前のことで、今や世界で20番以下です。
そのアメリカの古くて弱っている会社を買わずにすんだことが、日本製鉄にとって幸いするかも知れません。意地を張らずにさっさと撤退するのも一つの方法でしょう。
個人的には、このお金を鉄鋼以外の新分野にチャレンジするような国内での設備投資や技術開発に使ってもらえれば、さらによいと思います。その際に、アメリカだけでなく、多くの国から優れた人材が集まることにも期待したいです。