韓国の尹大統領による戒厳令の発布には誰もが驚きました。
尹大統領は日本では評判がよいのですが、韓国ではかなり厳しい立場だったのですね。それにしても戒厳令を出すほどまで、追い込まれていたとは知りませんでした。今後の処置については不明ですが、これまでの韓国の大統領と同じように、幸運な余生を過ごせない可能性が高そうです。
尹大統領は保守政党「国民の力」に所属しています。
野党第一党の進歩政党が、前任の文大統領が所属していた「共に民主党」です。「共に民主党」は2022年の大統領選には李在明を候補として擁立しました。
この大統領選は、歴史的な大接戦となりました。尹候補が1639万票、李候補が1615万票でした。尹大統領が当選したわけですが、その差は僅かに0.7%です。
実は、この選挙には「正義党」から沈相奵候補が出馬して80万票を獲得しています。正義党は共に民主党と同じく左派政党ですから、もし左派統一が成立していたら尹大統領は誕生していないわけです。
一方の右派保守には「国民の党」の安哲秀候補がいたのですが、選挙の直前に立候補を辞退して尹候補に一本化をします。また、選挙の後に「国民の党」は「国民の力」に合流しました。
保守と進歩で候補者を統一できたほうが選挙に勝利し、統一できなかったら敗北です。
つまり、尹大統領が国民の過半数に支持されているわけではないのです。尹大統領は、当初から少数勢力である保守層に支えられた大統領としての苦労を重ねていたと言えます。
民主主義はどうしても不安定になります。仕方ないです。