高効率モータの使用が事実上の義務となったのが、2015年度です。
早くも2015年度には、JIS標準モータの9割は高効率モータ(トップランナー)に代わっており、翌2016年度以降は99%以上が高効率モータです。省エネのためには既存のモータが、高効率モータに切り替わることが望ましいです。しかし、モータは一般に堅牢で、滅多に壊れませんから、2015年度より前のモータが今でもたくさん稼働してます。
そうはいっても10年は長いので、古い機種のメンテナンス期間が終わっている可能性があります。
特に、2015年度以前のモータあるいはモータを使用している機器があれば、注意しましょう。例えば、ポンプやファンなどです。
壊れても部品が入手できなくて、修理できない場合もあります。
重要な機械であれば、早めに手当てを考えておくことが望ましいです。
さて、高効率モータがどうして高効率なのかは、理由がいろいろあります。なかでも、鉄心の性能がよくなることでモータの効率は改善されています。
鉄心の磁気特性を向上させるには、鉄に微量の元素を含ませる手法があります。電磁鋼板といわれるものです。さらに、金属構造をもたない鉄、アモルファスという材料もあります。また、薄く伸ばした鉄板を積み重ねるという方法も性能を高めます。
考えてみると「鉄」は不思議なものです。
鉄は地球で最もよくみられる金属ですが、むしろ地球そのものです。地球の重量の1/3は鉄ですから、地球を鉄の惑星というのも頷けます。
鉄は強磁性で、磁石にくっつきます。そんなの当たり前と思うなかれで、常温常圧で強磁性の金属は、鉄の他にはニッケルとコバルトの三種類だけです。そのうち、鉄がもっとも磁性が強いのです。現代社会は電気社会です。電気社会を支えているのが、鉄の強力な磁性です。
一方で、人間を含めた生物が生きていられるのも鉄があるからです。血液中に含まれている鉄が酸素を身体中に送り届けます。血が赤いのは、鉄を含むヘモグロビンの色です。