焼き芋をじっくり焼くと美味しいのはアミラーゼの活性

少し寒くなってきたので「焼き芋」の美味しい季節です。

 

寒さに加えて、さつまいもが収穫期を迎えたので、新芋の焼き芋が美味しくなっています。

子どもの頃には、「いしやきいも~~」と声を掛けながら、リヤカーをひいた焼き芋屋のおじさんが家の前を通っていました。たまに、大人が新聞紙にくるんだ焼き芋を買ってくれました。ちなみに、このおじさんは、夏にはわらび餅屋さんに代わっります。わらび餅のときは、掛け声ではなくて、チリンチリンと鈴を鳴らしながらやってきました。

 

 壺焼き芋(山口市)
壺焼き芋(山口市)

さて、焼き芋です。

美味しい焼き芋といえば、石焼き芋が思い浮かびます。最近では壺焼き芋も人気です。

石焼き芋や壺焼き芋は、低温で長時間焼くことで美味しい焼き芋に仕上げています。

 

焼き芋が甘くて美味しくなるのは、芋のデンプンが麦芽糖(マルトース)に変わる(糖化する)からです。

デンプンを糖化するのは、アミラーゼという酵素の働きです。アミラーゼは唾液にも含まれている消化酵素です。ご飯を噛んでいると甘くなるのは、アミラーゼの働きです。

 

アミラーゼは40~50℃くらい(人の体温より少し高いくらい)で最も活性が高く、温度が高くなるにしたがって活性が低下します。一方で、さつまいものデンプンが糊化する温度は、品種によって異なりますが70~80℃くらいです。糊化とは、加熱によってデンプン分子の構造が崩れて糊状になることです。

 

つまり、デンプンが糊化して、アミラーゼによる糖化のはじまる温度である70~80℃が重要です。この温度帯をできるだけゆっくり通り過ぎることで、焼き芋は美味しくなります。高温で焼いてしまうと、アミラーゼの活性が低下して十分に糖化が進まないのです。ストーブの上で直接加熱したり、電子レンジを使ってつくった焼き芋が美味しくない理由です。

 

ビタミンCと食物繊維が豊富な焼き芋は、冬の健康対策にも有効ですから、ときどき食べてみましょうね。