昨日の続き:国民の玉木代表の「手取りを増やす」が人気を集めている?ようです。
特に若い世代には人気のようですが、何だか心配になります。年収の壁には、所得に所得税がかかるようになる「税の壁」と、社会保険への加入しなければならなくなる「社会保険の壁」と、配偶者の手当てが変動する「手当の壁」の3つがあります。
このうち、「税の壁」=103万円の壁は、昨日のブログに書いたように、あまり問題にならないと思います。そもそも勤労と納税は、憲法が定めた日本国民の義務です。
社会保障の壁が、106万円の壁と130万円の壁です。被保険者が51人以上の会社に勤めている場合は106万円※、それ以外の場合は130万円です。この年収を超えると社会保険への加入義務が生じます。
※正確には給与月額8万8千円以上。
月額給与が8万8千円(未満)なら手取りは、雇用保険を引かれて8万7400円にになります。
ところが、1万円昇給して月額給与が9万8千円になると、新たに社会保険料約1万3900円が給与から差し引かれて、手取りは8万3500円に減ります。
社会保険料の内訳は健康保険料4900円と厚生年金保険料9000円です。
先ず考えるのは厚生年金保険料9千円です。この保険料は同額を事業主が負担するので、実際に国に収める保険料は月に1万8千円です。仮に20年間厚生年金に加入するとすれば、支払う金額は18×12×20=432万円になります。
簡単に言えば、収めた保険料に相当する額が、将来の老齢厚生年金として返ってくることになります。したがって、手取りが減ることが一概に損をするということではありません。
但し、ここで問題なのが将来の年金支給額がいくらになるのかが正確には読めないことです。デフレの時代が終わり、インフレ物価高の時代に入りましたから、今の年金支給額(支給率)では厚生年金の魅力が薄れています。
手取り=今のお金のほうが、年金=未来のお金よりも大幅に価値が高いと感じるのは当然です。デフレ下の2007年に決まった年金制度改革(いわゆる「100年安心」制度)の見直しが必要でしょう。この議論を、国民に丁寧に見える化して議論することが政治に求められます。
次に健康保険料です。健康保険のメリットは人によって異なります。
業務外の病気や怪我で仕事を休んだ場合に「傷病手当金」として、給与の2/3が支給される保険と考えればいいと思います。月給9万8千円とすると、給付上限の1年6ヵ月休業とすると約115万円が支給されますが、こんな病気にかかることは想像したくないです。
この他、約20万円くらいになる「出産手当金」の支給もあります。