金利のある世界になったら、国の借金はどうなるんだろう?
国の借金である国債等の残高は、1200兆円を超えています。日本国民を1億2千万人として、一人当たり1000万円になります。
さて、簡単に計算してみます。額面100万円の10年長期国債を例にすると、今までは金利が安いので99万5千円とかで購入できました。10年保有すると5千円を得する計算です。
金利のある世界となって、額面100万円の10年国債を90万円で購入できるようになったとします。金利にして1%ほどですが、10万円を得するわけです。逆に言えば国が100万円分の国債を発行しても90万円しか手に入らなくなることになります。
また、既に発行している国債が市場で売買されるときの価値も下がります。
例えば5年前に99万5千円で購入した10年国債を保有している場合、5年後に100万円が手に入ります。しかし、今100万円の5年国債が95万5千円で買えるとしたら、99万円5千円で買ったものの価値は、95万5千円に減っています。
つまり国債を保有している人にとっては評価損が発生しています。
日本の国債のほぼ半分の565兆円を保有しているのは日本銀行です。日本銀行の評価損は数十兆円規模の大きな額になります。金利が1%ではなく、2%、3%と上がれば損失はさらに膨らみます。
一方で、金利を決めるのも日本銀行なので、国債の評価損を出さないためには金利を上げない選択をします。そうすると、日米金利差がなかなか縮小されないので、現在の日本円の実力以下の円安状況が続きます。これは、食料やエネルギーなど輸入に頼る物品の価格が上がるままになって、インフレになる懸念が強まります。
これに対して、国民の生活を守るのだという題目で、政府がバラマキ補助金を出すことが予想されます。結果としてこのお金は海外に流出するので、日本国の富が海外に流出し続けます。
物価高に賃上げに差がある=追いつかない、理由です。
ところが、結局のところ金利を上げないではいられなくなります。インフレが進行して我慢ができなくなって、金利を上げることになります。そうすると、日銀の当座預金や発行済銀行券の量が減っていきます。市中にあるおカネが減ってきますから、インフレは緩和されますが、次の不況期に入っていきます。
何にせよ、国にしても企業にしても、これからは借金は減らすことだと思います。
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