金利のある世界になると格差は広がるでしょうか?縮まるでしょうか?
衆議院議員選挙が公示されました。アベノミクスで格差が広がったと主張される方がいますが、実際にはどうだったのでしょうか? 格差の指標としてよく使われるのがジニ係数です。ジニ係数の値は0から1の間をとり、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示します。
第二次安倍政権は平成24年(2012年)から令和2年(2020年)までの期間です。民主党政権下の平成23年と菅総理から岸田総理に移行する令和3年のジニ係数を比較すると、当初所得で0.5536から0.5700,再配分後所得で0.3791から0.3813と僅かに拡大していますが、まぁたいした違いはなさそうです。
しかも、この間のジニ係数の拡大の要素としては、就業者人口の増加と世帯数の増加があります。
2012年に6280万人だった日本の就業者人口は、2021年には6907万人に増えています。これまで働いていなかった中年以上の女性と高齢の男性が、労働市場に多数流入したことを示しており、これらの就業者の所得は一般に低くなります。
日本の世帯数は、2010年(2011年は東日本大震災のため統計が無い)に4864万世帯だったものが2021年は5191万世帯(+327万世帯)です。これは、単独世帯が1238万世帯から1785万世帯(+547万世帯)増えたことによります。単独世帯として最も増えているのは高齢の女性の単独世帯です。
つまり、格差の拡大はアベノミクスの要因ではなく、むしろ本来はもっと格差が拡大するはずのところが抑制されてきたと言えるかもしれません。
これからは、就業人口も頭打ちですし、高齢者人口も減ってきますから、ジニ係数は改善されていく可能性があります。しかし、これに騙されてはいけません。
さて、金利のある世界の到来です。
大雑把に言えば、金利のある世界では資産を持つものはより豊かになり、負債を持つものはより貧しくなり、格差が拡大していきます。
中小企業の経営者としては、少し先のことを予想して、負債(借金)の規模をコントロールすることが、今まで以上に大事になります。