バブル放課後、1990年代後半か30年近く続いている金利の無い世界から、金利のある世界への転換が始まっています。
地方銀行では、貸出金利を上げる交渉術の行内講習が繰り返されているそうです。多くの銀行員が、業績が悪化しているわけでもない貸出先に対して、貸出金利を上げるという交渉をしたことがないので、どう切り出してよいのかわからないということです。
現在の中小企業経営者も多くが、経営者としては金利のある世界を経験していません。グラフで示されているように、1990年代前半までは定期預金1年もので2~8%というレンジで金利がついていました。よく知られているように、金利7%の定期預金に預けると10年後には2倍になります。実際、当時の郵便局でかけた学資保険は、固定金利ですから満期で2倍になって返ってきました。
この金利は預金金利です。貸出金利は預金金利より高くなります。
1990年代の預金金利6%時代に大企業の借入金利7%、中小企業8%のイメージですが、金利は業績によって異なります。10~15%といった金利で借入をしていた中小企業は多数ありました。
現在(2024年10月)の定期預金1年もの金利は3月末の0.005%から上がって、0.125%になっています。今後の動向はわかりませんが、金利が上がっていく方向にあることは間違いありません。
現在は、借入金利2%以下で資金調達できている中小企業であっても、3年後の金利を想像することは必要です。コロナのゼロゼロ融資の影響もありましたが、ポストコロナになっても中小企業の借入額は増加基調であり、過剰債務状態が続いています。
現役経営者の皆さんは、金利のある世界を知っている先輩方の話を聞いてみるのもよいと思います。