企業団体献金の禁止を声高に訴えていますが、憲法に違反しませんか?
企業は法人で、個人は自然人です。憲法では人権を守ることを求めていますが、この人権とは自然人だけではなく法人にも適用されます。但し、法人であっても自然人であっても、誰でもいつでも無制限に人権が認められるわけではないことには注意が必要です。わかりやすい例では犯罪を犯した自然人の人権は一部が制限されます。
企業団体献金については、既に最高裁判所の判決で示されています。昭和45年の八幡製鉄政治献金事件です。
八幡製鉄が自民党に対して政治献金をしたことに対して、株主の一人が株主代表訴訟を提起した事例です。
最高裁の判断は以下です。(行書塾さんのサイトを参考にしています)
1.政党は、議会制民主主義を支える不可欠な要素として、憲法上その存在を当然予定されている。
2.性質上可能な限り、法人にも憲法上の人権が保障される。
3.法人に政治献金の自由が認められる。
つまり、性質上可能な限り、法人にも憲法上の人権が保障されているため、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持したり、反対したりするなどの政治的行為をなす自由を有する。
政治資金の寄付(政治献金)は政治的行為の一環であり、会社により政治献金がなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。(憲法上、法人献金と個人献金を別々に扱うべき、とはしていない)したがって、法人についても政治資金の寄付の自由が認めれられる。
企業団体献金は上限を年間1億円に規制されています。個人の場合は2000万円です。
私が知る限りで、政治家に何かの便宜を図ってもらうために2000万円であっても支払う会社はありません。一方で、少数でしょうが個人で2000万円支払う人は近くにおりそうな気がします。
どちらが政治をより大きく歪めるかは考えどころです。