【NHKニュース】 財務省が2日発表した法人企業統計調査によると、企業の利益から税金や配当を差し引いた「内部留保(利益剰余金)」は2023年度末に600兆9857億円となった。
企業の内部留保が記録を更新しながら、どんどん増やていくのは怪しからんという話がよくでてきます。儲けた分を従業員の賃金として還元するべきだとか、いっそ企業の内部留保に対して課税をしようという意見が、野党側からしばしば聞かれます。
一方で家計の金融資産も増えており、6月末で2199兆円にもなっています。
このうち1118兆円が現預金で、保険年金が541兆円、株式や投資信託など金融資産は461兆円です。
お金持ちがため込んでいる金融資産に課税をするべきだという意見もあります。
この意見には、NISAを推奨するなど、家計の金融資産増加を働きかけてきたのに水を差すという反対も多いようです。
現実を冷静に見れば、企業の内部留保が厚いのは使い道、つまり投資したい対象が見当たらないからです。家計の金融資産が増えているのも、お金を持っている人が買いたいものや体験したいものが見当たらないのです。ここに大きな問題があります。
もっと大きな問題は、政府が税金として企業や国民からキャッシュを集めたとしても、適切な使い道がなさそうなことです。岸田首相が志向している成長と分配の好循環ですが、成長につながる分配先を見いだせていません。結局、定額減税とか燃料高騰補助金とか、もろもろの単なるバラマキでお金を使って、あきられるくらいです。
少し、冷静になって政策を再検討したほうがよいと思います。
企業も家計も政府も、借金(負債)の返済(圧縮)を図り、財務の健全化を目指すのが先です。そのうえで、魅力的な資金の使途がないなら、慌てないで天の時、地の利、人の和が揃うまで待つことが大事でしょう。