政府は、電気・ガス・ガソリンなどへの物価高騰対策に充てる追加の費用として今年度予算の予備費から9800億円余りを支出することを3日の閣議で決めた。【NHKニュース】
ガソリン価格抑制の補助金は22年1月に、電気・ガス料金の支援は23年1月に始めた。ガソリン補助金にはこれまでに計6兆3665億円、電気・ガス料金の支援には計3兆7490億円をあてており、これらの累計の予算額は10兆1155億円に達していた。今回の支出分を含め、これらの補助金の予算総額は累計で11兆円を超えた。【日経新聞】
政党の代表選で「政治とカネ」という問題が話題になっていますが、せいぜい10億円規模のことです。大したことではないとは言いませんが、この11兆円という岸田政治が費やした膨大なカネについての議論もして欲しいです。
現在の激しい気候変動が日本国民だけでなく世界人類共通の著しい課題であることに異を唱える人は少ないでしょう。
電気・ガス・ガソリンの使用は、温室効果ガスの排出を通して、気候変動の原因です。したがって、その使用を抑制するのが正しい政策です。
この政策のために多くの国で導入されているのが「カーボンプライシング」です。簡単に言えば、温室効果ガスを排出すことに経済的なペナルティーをかける手法で、最もわかりやすい方法が「炭素税」や「燃料税」です。つまり、電気・ガス・ガソリンの実質的な利用価格を上げることによって使用を抑制します。
岸田政権はこれと全く逆の政策をとっています。現状は、電気・ガス・ガソリンを使えば使うほど多くの補助が受けられるというわけです。しかも、その額が11兆円です。
防衛費増額で3年後の2027年に必要になる財源が3.7兆円だそうです。このうち1兆円を増税で賄うかどうかも総裁選の争点だそうですから、何だかクラクラします。
環境省の「諸外国におけるカーボンプライシングの導入状況」という資料から4枚ほど貼り付けておきます。クリックすると拡大されます。
➀ 日本はカーボンプライシングの後進国です。
② 日本で導入されている炭素税はガソリンにかかる温帯税(0.76円/L)だけで最も低いレベルです。
➂ 温室効果ガス排出量当たりで比較すると、日本のエネルギー価格は世界で最も低いレベルです。
例えば、日本のガソリン価格は約170円/L(1.15USD/L)ですが、北欧諸国やオランダ・スイスなどでは約330円(2.2USD/L)です。西欧のドイツ・フランス・イギリスなどで300円を若干下回る2USD/Lです。