岸田首相退陣表明。福祉国家の道筋をつけた田中角栄

岸田首相が次期自民党総裁選に出馬しないと表明しました。

 

表明の時期はともかく、岸田さんが出馬しないことにはあまり驚きはありません。報道では、驚いたといっている方も映ってはいますが、どうも本心ではなさそうです。

岸田さんは2021年10月2日からほぼ3年間も政権を担ったわけです。広島県出身としては地元の総理に大いに期待をしていたのですが、正直なところ、もう十分だと思います。

 

毎月、内閣支持率と政党支持率について報道されます。

直近のNHKのデータでは、岸田内閣支持は25%、不支持が55%です。政党支持率では、自民党が30%、公明党3%、それ以外の8野党合計が13%です。

内閣支持率+政党支持率=55%ですから、青木の理論では未だ岸田政権は安泰のようにも見えます。

 

ただ、ここで問題なのが自民党支持層の岸田内閣支持率が50%台にまで下がっていることです。岸田さんは身内である自民党支持層からの信頼を失っていることが問題なのです。

もし、自民党国会議員に岸田首相を信頼しているかと質問したら、これもかなり低い数字になりそうです。

 

トップが自らの率いる組織から信頼されなくなれば、退くしかありません。これは、政治の世界に限らず、あらゆる組織で同じです。

 

田中角栄
田中角栄

岸田さんは、結局のところ自分が何をやりたいのかを、全力で話すことができなかったのだと思います。

「新しい資本主義」が、いったい何なのかが最後までわからないままでした。

 

私の世代で記憶に残る最初の首相は田中角栄です。 

田中角栄が総理になってやると宣言したのは「平和」と「福祉」です。とても明確です。

 

田中角栄は、毛沢東・周恩来と日中国交正常化を果たします。ソ連に行ってブレジネフと北方領土問題を交渉し、米国のフォードを日本に招いて日米関係を強化しました。 

 

田中角栄は、狂乱物価のなかで、「福祉」の充実を目指します。日本列島改造論という日本式福祉国家論は国民の支持を得ました。

 

田中内閣は所得税大幅減税をおこなう一方で、国民年金、厚生年金、福祉年金は大幅増額、国民年金の物価スライド制導入、健康保険負担率を5割から3割に軽減、老人医療費の無償化、高額療養費制度の創出、などを矢継ぎ早におこないます。田中内閣の2度の予算編成で、社会保障費は1.77倍に増えました。

 

角栄の名言、『自分の言葉で全力で話せ。そうすれば、はじめて人が聞く耳を持ってくれる』