土井ヶ浜弥生人は沖縄の貝を腕輪にした

山口県の有名観光地角島大橋、橋を望んでいつも混んでいる道の駅豊北のすぐ近くに「土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム」があります。

 

先日、立ち寄ってみましたが混雑とは全く無縁ですから、一度訪問してみてはいかがでしょうか?土井ヶ浜遺跡は、今から2200年ほど前の弥生時代に営まれた集団墓地です。発掘調査で、300体余りの人骨と多くの副葬品、弥生式土器などの遺物が発見されています。乾燥した砂丘に埋葬したことで、人骨などが崩れずに保存されて残ったそうです。

 

土井ヶ浜ミュージアム
土井ヶ浜ミュージアム

このあたりで人骨が掘り出されるのは珍しくなかったのですが、昭和27年の工事で腕に貝釧(かいくしろ:貝の腕輪)をしたものが見つかりました。写真のミュージアムの入口にあるような貝輪です。

 

今の沖縄あたり、南海産の貝ですから、ちょっと驚きます。地元の中学校の先生が九州大学に人骨と一緒に送って鑑定をしてもらったのが最初だそうです。

 

その後、九州大学と旧豊北町が19次に渡って発掘調査をおこなったところ、弥生時代の大規模な墓地だったことがわかりました。

 

この墓地に埋葬されている人骨は、全て正確に山東半島の方角を向いています。方位を正確に知る技術があったことがわかります。そして、骨の形質からどうも山東省から海を渡ってきた人たちのようだということです。

この頃の大陸では、最初の統一王朝だった秦が倒れ、漢(前漢)が代わっていきます。この混乱を逃れて、大陸から土井ヶ浜へと渡ってきた山東人が、ここに葬られているということなんでしょう。

 

ミュージアム内は涼しいです。おいでませ山口へ!