21世紀型ワークシェアリングを求めた時代があった

一昨日、山口地方最低賃金審議会は、山口労働局長に対し、現在の最低賃金928円から979円に、51円の賃上げを答申しました。

 

以前から何度か書いていますが、最低賃金の野放図な引き上げには反対です。いろいろな働き方をしたい人がいるわけです。山口県の田舎では、子守や孫守りをしながらのんびり働いているおばあちゃんなんかも、実際にはたくさんおります。そんな職場にも最低賃金を守るように指導されたら、事業者は困ってしまうのです。

 

2002年の新聞
2002年の新聞

ここで、ちょっと昔話です。昔といっても、ほんの20年少し前のことで、個人的には管理職になって数年のことです。

21世紀に入ったばかりの2002年の新聞記事を参照します。

 

当時の日本には完全失業者が350万人(現在は180万人)いて、労働力の過剰が問題になっていました。これは、日本だけではなく先進国共通の課題でした。

 

当時の日本もデフレに苦しんでいました。需給ギャップは-3%に近く、消費者物価指数は5年間で5ポイントの下落です。

デフレの要因には、先進国の単位労働コストが途上国に比較して高すぎることが指摘されていました。日本でいえば、中国などアジア諸国との賃金格差です。

 

そこで、デフレ脱却と失業者対策として先進諸国で取り組まれたのがワークシェアリングです。現在のワークシェアリングとは意味が異なりますので、要注意です。

 

簡単に言えば、一人の仕事量を減らし、賃金も減らし、雇用者数を増やすという政策です。

 

西欧諸国では、週35時間労働制や早期退職制度の強制導入、パートタイム労働者の増加などの施策を強力に進めていました。

日本でもこれを受けて、労使双方から雇用の多様化を進め、仕事の分かち合いをしていかなければならないという社会的な合意が形成されつつありました。

現在は批判されている賃金が上がらない、非正規労働者の割合が高いという社会は、当時の日本が目指していた姿に近いのかも知れません。

 

まぁ、個人の感想です。