中小企業向け補助金は正常化に向かう

とても久しぶりに補助金についてのセミナー講師をしました。

 

コロナ禍を理由にして、補助金や助成金はまさにバラマキといってよい状況になりました。昨年11月の行政レビューで、「新型コロナが5類感染症に移行したいま、新型コロナ対応のために措置された補助金については、事業者の状況を見きわめながら不断に見直し、早期に中小企業対策費全体を正常化する必要がある」と評価されています。

 

新設 省力化投資補助金の例
新設 省力化投資補助金の例

つまり、行政レビューで「中小企業対策費は全体として正常な状態にない」という指摘を受けたのです。そして、速やかに書く補助金について見直して、正常化するようにという指摘です。

中小企業向け補助金は曲がり角にきました。これまでと同じだと考えないで、都度の公募情報についてしっかり目を通して理解して取り取り組むことが大事です。

 

補助金の基本は次の三つです。

➀ 補助金によって、目的・対象・仕組が異なっている。同じ補助金だから、毎回同じ目的や対象かというと、これもまた違います。もちろん、大枠の目的は踏襲されていますが、ほとんど別物といった補助金もあります。つまり、補助金は「その年度の国や自治体の政策目標に合せて募集される」ということです。

 

➁ 事業の全額が補助されるわけではない。自己資金が必要なので採算性の評価がとても重要になります。補助金は事前に支給されるのではなく、事業が対価の支払いまで全て完了してから支払われます。つまり、その間に自社で都合した資金が必要です。

また、忘れがちですが、補助金は期末には雑収入で計上するようになります。当然ながらこの所得に対して税金がかかります。

 

➂ 補助金には「事前の審査」と「事後の検査」がある。自演の審査は厳格化される傾向にあります。このため、各補助金の採択率は軒並み低下傾向にあります。厳格化は事後の検査でも同様です。 

 

このような背景から、カタログ型の補助金が増えています。予め販売事業者が、補助金の目的や対象に合致した汎用製品をカタログに登録することを申請します。補助事業者は採用されてカタログに登録された製品の購入に補助を受ける仕組みです。

今年はじまった中小企業省力化補助金はカタログ型1本の補助金です。これまであった、IT補助金や省エネ補助金でもカタログ型補助金がありました。

 

補助金は万能ではないので、目的を明確に持って、公募要領をしっかり確認したうえで申請しましょう。