世界経済において権威主義国家が占める割合が増えているそうです。
現時点で民主主義国家の経済規模と権威主義国家の経済規模の比率は6:4になっています。25年前の1990年には、この比率は8:2でした。権威主義国家の経済規模が増大したのは、中国の経済発展が最も大きく影響しています。1990年からの25年間で中国のGDPは70倍に成長して、GDP世界シェアは20%に達しています。
権威主義国家の経済大国にはサウジアラビアをはじめとする中東の国々もあり、民主主義国家以上の経済発展をしています。
また、ロシアは1990年当時、ゴルバチョフのペレストロイカ政策によって、共産党一党支配が終わり大統領選挙を実施するなど、民主主義国家への変貌を期待されていました。
エルドアンの独裁が続くトルコや、軍事クーデターが起こったタイなどは、当時は民主主義国家と言ってもよかったのです。
今後も権威主義国家が増殖し続けるかの鍵は中国にありそうです。
権威主義国家ではその権威の継承がうまくいくのかが重大な問題です。日本の隣国、北朝鮮は最高指導者の金正恩が40歳、妹の与正が35歳、後継者教育を受けている娘ジュエは11歳ということです。結構、盤石で長続きしそうです。
サウジアラビアでは、2017年の宮廷クーデターでの大混乱の後、国王の息子で38歳のムハンマドが皇太子となり、現在は首相として行政も担っています。サウジ内閣は、国王一族が主要な地位を占めています。
ロシアのプーチンは71歳ですが、5月に成立したロシア内閣ではミシューチン首相は58歳、第一副首相のマントロフは55歳です。プーチンの盟友パトルシェフ(75歳)の息子、ドミトリー・パトルシェフ46歳が農相から副首相に昇格しています。
権威主義国家の継承は可能です。
問題は中国です。中国の共産党一党独裁体制は世代間継承がそれなりにうまく機能してきました。毛沢東の第一世代から、1980年代は鄧小平の第二世代、1990年代は江沢民の第三世代、2000年代は胡錦涛と温家宝の第四世代です。指導者の任期を2期10年、年齢上限を68歳といったルールをつくって守っていました。
このルールを破棄した習近平主席は71歳。中国共産党常務委員会の6人のメンバーは、丁薛祥副首相が61歳で最年少で、その他は習近平側近だった65~68歳です。第六世代の有望な人材が見当たりません。
アメリカのバイデン大統領が年齢(81歳)を理由に大統領選から撤退しましたが、やっぱち「年には勝てない」ような気がします。中国の権威主義国家体制が5年後。10年後にどうなっていくのかは、世界情勢に大きな変化をもたらしそうです。