石炭由来の温室効果。中国をどうするのか?

石炭火力発電について非難する意見があり、このブログでは何度かその誤りを指摘しました。

 

石炭消費の現状は、実のところ混沌としています。昨年(2023年)、日本が消費した石炭の量は1.63億トンです。世界全体で87.07億トンと推定されているので世界の1.8%を日本が消費している計算です。一方で、中国の石炭消費が49.93億トンあり、世界の57.3%です。

 

Enerdata2024
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中国の石炭消費量は毎年増加を続けており、2022年と2023年を比較すると3.2億トン、つまり日本の石炭消費量の2倍の増加になっています。

 

中国の石炭消費量は正確ではないとも言われています。中国の石炭生産量と輸入量から計算した見掛けの消費量は51.5億トンになるそうです。

また、中国の石炭採掘では漏出するメタンガスの処理が適切におこなわれおらず、漏出するメタンガス量は二酸化炭素換算で10億トンに近いという推計もあります。10億トンはほぼ日本の全温室効果ガス排出量と同じです。

 

欧米が石炭生産と消費について厳しい態度をとるのは、中国を念頭に置いた嫌がらせという側面があります。事実上、世界に温室効果をもたらしている強大国・中国に対して、欧州も米国も明確には手が出せない状況が続いています。日本がそのとばっちりを受けています。

 

もっとも、欧州の石炭消費はロシアのウクライナ侵攻による影響もあって増加しており、5.44億トンと日本の3.3倍です。人口やGDPを分母にした石炭消費原単位では、日本より欧州の方が石炭消費は少し多くなります。

 

原子力利用に不安があり、石油の可採年数が頭打ちになるなか、アフリカを中心に世界人口は増加し、生活水準の改善が進みます。

日本の石炭火力発電を目の敵にするのは正しいことではありません。世界最高水準の発電効率と低炭素化を達成している日本の石炭火力発電技術を発展途上国に普及させていくことが、本当は大事なことです。