元安芸高田市長が悪目立ちしています。地方自治について、少し私見です。
「地方分権」が流行した時期があります。国の権限や財源を都道府県や政令指定都市に移し、都道府県は同様に市町村に移譲するという政策です。バブル崩壊が明確になった1993年頃にはじまり、形式的には現在も続いていますが、実態は2010年頃には下火になっています。
NHKのアンケートが公開されていますが、そもそも地方の市町村の多くが地方分権を望んでいません。妙なことを推しつけられても困るのです。
ところで、例の元市長もNHKアンケートに答えています。この人はダメダメで関わりあいたくない方ですが、回答に見られるような頓珍漢さがクスッと笑えるところがあって、ちょっと憎めないところがあります。☞ NHK全国首長アンケート 安芸高田市長 石丸伸二
私の印象なのですが、地方分権のその先、地域分権が大事なことのように思います。
地方分権という言葉の印象は、中央から地方へ拡げるというものです。しかし、これと並行して進められた平成の大合併とか、道州制の議論を考えると、実は地方毎の集権を進めるという政策です。
安芸高田市は6町合併して新設された市です。中心になる吉田町は毛利元就の本拠地で吉田郡山城があって有名です。しかし、その他の5町にもそれぞれの歴史や伝統があり、独特な文化や産業もあります。
石丸氏は市長の権限で、16人いる議員を減らすとか、6校ある小学校を1校にまとめるとか、3つある保育園を1つに統合するといった政策を進めようとしました。もしかしたら、行政の効率化という意味ではもっともなことなのかも知れません。
経済の専門家と自らを評価する石丸氏にとって、これに反対する議員は「あなたは、基礎的な算数もできないのか!、恥を知れ!!」となるのでしょうが、実際は違うのではないか?と思います。
山口県でいろいろな商工会で相談業務を担当して思うのは、国難と言われる少子化対対策は地方分権からさらに一歩進んだ、地域分権なんだろうと思います。
日本の可住地面積はそんなに広くありませんし、温暖化や地震のリスクを考えれば、都市圏に人口集中することのデメリットは明らかです。そしてそれは、地方自治体でも同じです。
各地域で、それぞれに生活していく人の営みを創造していくことが、実は日本の成長につながるように思います。