今日はヒジュラ暦で1445年12月23日

サウジアラビアのメッカはイスラム教最大の聖地です。

 

イスラム教徒には5つの決まりごとがあります。五行とか五柱とかいいます。1つ目が「信仰告白(シャハーダ)」、2つ目が「礼拝(サラート)」、3つ目が「喜捨(ザカート)」、4つ目が「断食(サウム)」、5つ目が「巡礼(ハッジ)」です。巡礼とは、イスラム歴の12月8日から13日(今年は6月14日から19日)に、メッカのカアバ神殿の宗教儀式に参加することです。

 

マスジド・ハラーム
マスジド・ハラーム

今年の巡礼には世界中から180万人がメッカを訪れたそうです。このうち、1300人が熱中症で死亡したというのが大きなニュースになりました。気温50℃を超えるなかでの巡礼はとても過酷です。

 

ただ、メッカ巡礼において熱中症での死亡者が多数出たというニュースはこれまであまり聞いたことがありませんでした。

 

どういうことかというと、イスラム暦(ヒジュラ暦)というのは太陰暦です。しかも、日本の太陰暦のように、ときどき閏(うるう)月を入れて太陽暦とのズレを調整することはない純粋な太陰暦です。

 

したがって、太陽暦とは1年間に11日のズレが生じます。今年の巡礼は6月14日からはじまったのですが、来年は6月3日から、再来年は5月24日からになります。来年以降は、熱中症の危険は軽減されそうです。

 

遡ると、昨年(2023年)の巡礼は6月25日から、2020年は7月28日から、2019年は8月9日、2018年は8月19日、2017年は8月30日からでした。つまり、2019年から今年くらいまでが熱中症のリスクが高い時期の巡礼なのです。

 

そして、幸か不幸か2020年から昨年までは新型コロナ感染症の対策として、サウジアラビア政府が渡航制限や移動制限をおこなったので、巡礼者が少なく熱中症があまり話題にならなかったのです。(それでも昨年の死者は500人を超えていたそうです。)