「時間選好率」は、将来に消費することよりも、現在に消費することを好む程度のことです。
例えば、ここに自由に使える100万円があり、且つ買いたいものがあったとします。仮に、この100万円を貯金すれば1年後に確実に105万円になることがわかっているのに、今100万円使うのならば時間選好率は5%です。1年後に120万円になるとわかっているなら、今は我慢して1年後に1グレード高いものを買うことを選択するかもしれません。
時間選好率は経済だけにあるのではなく、あらゆる社会活動に応用されます。
今、自由に使える時間が100時間あったとして、この時間を全て自分のスキルアップに使うなら、将来の1年間(8700時間)のバカンスが手に入るかもしれません。
今、タバコ1箱が手元にあっても、これを吸わないでおくことで、将来の健康が損なわれず、100時間長く元気に暮らせるかもしれません。
人は誰しも、現在を重視して、将来を軽視します。その理由は、将来が100%確実ではないからです。
今の100万円が1年後に120万円になることを、立派な金融機関や国家が保証していても、絶対かというと微妙です。どんなにスキルアップして、優れた仕事によって高い地位につけたとしても、心置きなくバカンスを楽しめるとは限りません。タバコを吸えば、健康を損なう確率は確実に高まりますが、健康を損なうことは確実ではありません。
要するところはバランスなんです。
「後の後悔、先に立たず」ですから、少なくともリスクを高めるようなことは避けるべきとは思います。ただ、あらゆる人が将来のために現在の浪費を諦めるなら、社会が発展することは決してありません。極端に言えば、時間選好率の高い社会ほど成長率が高いとも言えます。
但し、時間選好率の高い(高かった)人ほど、老後に向けて貯蓄が少なかったという調査結果もあります。やっぱり、バランスなんですね。