少し前の中国やアジアの国では、クルマのヘッドライトは点かなくても構わないが、クラクションが鳴らないと運転できないという話を真面目にしていました。
アジアの国では、普段は会社のクルマを使います。ある時、何かの事情で日本人2人だけで社外のタクシー会社のクルマを使ったことがあります。運転手がヘッドライトを点けないまま、漆黒の未舗装道路を疾走するものですから、肝が冷えました。ところが、闇のなかでどうやって見分けているのかは不明ですが、人やら障害物がでてきたら、運転手はスピードを緩めることもなく、力いっぱいのクラクションを鳴らします。ヘッドライトはともかく、ブレーキペダルも故障しているんかいな?と心配になりました。
日本、特に山口県にいるとクラクションの音を耳にすることはほぼありません。今日は、久し振りにクラクションの音を聞いて、ちょっと懐かしい感じがしたほどです。
私も40年以上クルマに乗っていますが、クラクションを鳴らしたことは数回しかないような気がします。何かのときにチャレンジしてみたいのですが、案外に大きな音とか出ると恐ろしいのでできません。
クラクションは、ハンドルの真ん中の大きなホーンボタンを押すと、電磁石になって共鳴板を振動させて音が出るという、アナログ且つ古風な仕組みになっています。基本的に昔から仕組みが変わっていないようです。
小さなスイッチで音色や音量が調節できるような仕組みにしてもよさそうなものですが、クラクションの仕様は法律で厳密に決まっているようです。要するに遠く大きな音が瞬時に出ないといけないのです。
これはクラクションを鳴らさないといけない箇所が法律で決まっているからです。見通しの悪い山道のカーブなど「警笛鳴らせ」の標識がある場所です。こんな場合には、よほど大きな音でなければ対向車にクルマの接近を知らせることができません。
確かに、免許取り立ての頃に、山道で「警笛鳴らせ」の標識をみた記憶があります。しかし、道路の整備が進んだために、ここ数十年は見てないと思います。ゼロにはなっていないのかも知れませんが、限りなくレアな標識でしょう。
以前、石原慎太郎東京都知事が「駐車禁止の標識を廃止しよう」と言われていたことがあります。東京都の道路の70~80%、区部なら99%が駐車禁止で無粋な標識を立て並べている。「駐車可能なところに標識を立てて、それ以外は全て禁止にすると入れ替えれば、コストがずっと減る」というわけです。
そろそろ、クルマのクラクションの仕様も見直す時期かも知れません。デジタル技術を駆使して車外に注意を促すだけの機能にすれば、クラクションのコストも下がるかも知りません。仮に、1台1000円下がっても年間500万台なら50億円の儲けです。・・って、あまり大したことがないか?