パリオリンピックの開幕まで約1か月となりました。いろいろな競技で参加する代表選手や代表チームが決まってきています。
オリンピックが開催されるパリ市のエンブレムは美しいです。エンブレムの中央の赤地に白く水面と帆船が描かれています。セーヌ川を行き交う給水船だそうです。当時のパリ市では、水上商人組合が大きな権力を持っていたからそれを象徴しているという説もあります。
今日のテーマは、このエンブレムに描かれている「 Fluctuat nec mergitur」というラテン語です。
「たゆたえども沈まず」と訳されます。”たゆたう”は漢字で”揺蕩う”と書き、”ゆらゆらと揺れ動いて定まらない”という意味です。船が波間で揺れているイメージです。
開高健は「漂えど沈まず」と書いていますが、こちらのほうがわかりやすいです。
セーヌ川の水上商人組合の船乗りたちの、どんな天候に遭遇しても「揺れて漂ようことがあっても、船を沈めることはない」という矜持を示しているということです。
もっとも、セーヌ川の中州にありノートルダム大聖堂が建つシテ島のことを謳ったという説もあります。
いずれにしろ、どんなに激しい波に翻弄されても、沈みさえしなければ復活できるということでしょう。何度も何度も歴史に翻弄され、戦火に見舞われることも多かったパリ市のエンブレムには、ふさわしい言葉なんだろうと思います