人口が減少していくなか、公共インフラをどのようにするのか考えないといけません。
宇部市の場合、下水道の面積整備率84.1%、人口普及率79.4%、管渠総延長880.615㎞となっています。面積整備率の分母は自然体の面積ではなく、下水道を整備する計画のある市街地面積(市の面積の14.5%ほど)です。人口普及率79.4%は逆数で20.6%が下水道を利用できないということです。管渠総延長は毎年5~10㎞のペースで伸びています。
下水道事業は法律で市町村がおこなうことが決められています。宇部市くらいの規模(人口15.8万人、面積288㎢)であれば、ある程度の持続性はあるかなって思っていました。
しかし、高齢化と人口減少は加速しており、且つ市民の節水や省エネの意識は高まっています。下水道で処理する水量は予想を超えるスピードで減少していきます。下水処理費用は従量部分が大きいので、水量が減れば下水道事業の収益は悪化します。
一方で、新設される管渠のコストだけでなく、既設の管渠や処理センターのメンテナンスコストも増加します。宇部市の2つの処理場は1961年と1962年の運用開始で、60年を超えています。全国の多くの自治体でも似たり寄ったりでしょう。
また、下水処理に流れ込む水量が減る以上に、流れ込む汚染の有機成分量も減っています。変な言い方ですが、下水が綺麗になっています。結果として、処理場の能力が過剰になっているところが増えているようです。
省エネ診断では、エネルギーとともに上水、下水の使用量とコストを必ず分析します。水をつくるのも処理するのも、膨大なエネルギーを消費するからです。
この分析をして報告すると、多くの事業所で「えっ!水道代ってそんなにかかっているの!!」「下水費用ってスゴイ高いな!!」と驚かれることが多いのです。日本人にとって水はどこにでもある安いものという刷り込みがあるうえに、経営者には公共事業だから安価なサービスを提供してもらっているはずだという誤解があるのです。
なかなか難しい問題ですが、これからの下水処理をどうするのかを考えないといけません。浄化槽などによる分散処理が効率的・合理的な選択肢になっているケースも増えてきそうです。