世界中の国の債務残高の対GDP比は、2020年のコロナ騒動で上昇しました。
コロナ騒動が沈静化して以来、債務残高の対GDP比が下降に転じた国が多くなっています。世界銀行のデータを参照すると、債務残高が減少していかない国はロシア・ウクライナ紛争に深くかかわるバルト3国、フィンランド、イギリスなど欧州の一部の国と日本、それに韓国くらいです。欧州でもフランスもドイツも、ノルウェーもスウェーデンも、イタリアもスペインも債務残高を減らしています。
コロナ騒動の際に、各国政府は多くの借金をして、経済の停滞に対処しました。その騒動が終わったので、借金し続けることは止めにして、返済をしているわけです。
ロシアのウクライナ侵攻の影響を直接受けている欧州の一部の国は例外です。
そのなかで、世界一の債務を抱える日本政府は財政健全化へ舵を切ることはせず、更に借金を続けているわけです。果たして、この政策が正しいのか?というと、既に日本と世界の歴史が証明しているように思います。
日本では債務残高を増やすほどに経済成長は鈍化していきました。実は、日本ほど膨大な規模ではないのですが、世界の多くの国も同様で政府の借金が増えるほど、経済成長が鈍化するという相関関係があります。
こういうと、因果関係が逆で経済成長しない、デフレ状態にあるので財政出動で経済成長を促しているのだという反論があります。しかし、実際のところはどうでしょうか?
私たちが関わっている範囲でも、多額の借金をして、それを活用して成長を勝ち取った会社はもちろんあります。それらの会社は、とても有名になっています。しかし、借金を梃子にして成功したケースは確率的には少なくて、市場から消えるケースの方が圧倒的に多いです。
経済大国の政府と、私たちが関わっている中小企業を同列にはおけません。しかし、特別な借金をする理由が無くなったなら、返済をして財務の健全化を図るのがよいでしょう。
さらに金利の問題があります。会社であれば、借金が膨らんでいる状態で金利が上がれば、いよいよお金に詰まります。GDPの2.5倍を超える借金がある日本政府も理屈は同じです。
ただし、政府は一定の範囲で金利に影響を与えられます。日本の場合も金利を抑制しています。内外金利差が広がることで為替安になって、一時的に経済を良くする効果も出ているのですが、長期的には不健全な状況です。
バラマキを止めて歳出削減をして、所得課税を強化して税収増をおこない、債務残高を圧縮することが、実は経済成長につながると思います。とはいえ、選挙の時期が到来して、一層のバラマキ合戦がはじまろうとしています。