大気質と温暖化とゲリラ豪雨の関係

地球温暖化によって集中豪雨が増えていると言われています。

 

気象庁アメダスの記録でも、集中豪雨(ゲリラ豪雨)の発生回数は右肩上がりです。1時間に50㎜以上という尋常では無いレベルの集中豪雨が全国で年間300回以上も観測されています。50㎜の雨は、1m四方に1時間に50Lの水が空から降ってくるわけで、滝の中に立っているような感覚です。

 

1時間に50ミリ以上の雨が観測された回数
1時間に50ミリ以上の雨が観測された回数

人の活動によって温室効果ガスの排出量が増加していたことで、地球温暖化が進行している。このため、日本近海の海面水温が高くなって、海面からの蒸発量が増えている。大気中の水蒸気の量が増えているために、積乱雲が発達しやすく、集中豪雨が発生しやすくなっている。

なんと分かりやすい話でしょうか。

 

しかし、ここで問題なのは、水蒸気の量が増えれば積乱雲ができるというのは正しいのか?というところです。

実は雲粒ができるには、核となる物質の存在が不可避です。大気中に浮遊している微小粒子、エアロゾルというものです。エアロゾルが十分に無ければ、雲は湧きませんから集中豪雨も起こりません。

 

エアロゾルは、自然界からも多量に発生しているのですが、人の活動からも発生します。中国の経済発展に伴って大気汚染が深刻化して、PM2.5(待機中に浮遊する直径2.5㎛以下の粒子:エアロゾル)濃度の上昇が話題になりました。

つまり、エアロゾル濃度が上昇してきたことも、日本での集中豪雨の頻度が上がったことに関連します。そういう目でみてみると、中国での大気汚染対策が徐々に進行する中で、集中豪雨の発生頻度の増加が頭打ちになっているようにも見えますね。

 

しかし、ここでさらに問題なのは、エアロゾルは地球温暖化を抑制するということです。大気中に浮遊する微粒子は、太陽からの熱を防ぐ日傘の役割をします。エアロゾル濃度が下がると、地表に到達する熱量は増えるという関係になります。

 

新型コロナ禍による、中国をはじめ世界でのロックダウン実行は、人の活動を大きく制限しました。エアロゾルの発生量が一気に減ったことで、この間の地球は一層温暖になりました。

 

エアロゾルは人の健康にダイレクトな影響を与えます。人為的な発生を抑制しなければならないことは明らかです。しかし、一方で地球温暖化を一定程度抑制していたのも事実です。

つまり、大気質を改善するためにエアロゾルの発生を抑制する以上に、温室抗ガスの排出量を減らさないといけないわけです。