組織の意思決定プロセスに「ゴミ箱モデル」というものがあります。
個人(一人)では解決できない複雑で困難な問題に出くわすと、他人(複数人)の知恵や知見を得て、組織として協力し協働して解決に導きます。社会とは、そうして文明を発展させてきたものだと信じられています。しかし、この意思決定は必ずしも合理的におこなわれているとは限りません。「ゴミ箱モデル」では、この意思決定の過程を説明しています。
ゴミ箱モデルでは、4つの要素があります。
「選択の機会(会議の場)」
「参加者」
「解決案」
「問題点」
組織の意思決定は、「参加者」と「解決案」と「問題点」を無秩序に「会議の場」というゴミ箱に放り込んでおこなわれる。
ゴミ箱にあるゴミは、ときには取り出され、また新しいゴミが入れられることを繰り返される。それぞれのゴミどうしには関連性はほとんどなく、独立している。
そして、最終的に意思決定をしなければならない時点で、ゴミ箱に残ったゴミによって組織の意思決定はなされる。
身もふたもないモデルなんですが、実は結構正しいような気がします。
「参加者」はきちんとした意思決定の基準を持っているとは限りません。むしろ、もっていない参加者も多いです。さらに、長期的な視点で判断できる優れた人でも、目の前にある問題には”とりあえず”の判断をすることもあります。また、多くの組織では時間が経過すると参加者そのものが入れ替わります。
「解決案」は参加者毎にいろいろなものが提案されます。仮にある解決案が正しい考え方だとしても、例えば人的資源、技術、資金などの面でできないことかもしれません。参加者が自社の経営資源の強さ弱さを正確に把握できているとは限りません(というか、そんなことは稀です)。
「問題点」が本当に解決されなければならない課題なのかどうかも、実は怪しかったりします。よくあるケースでは、組織やその構成者によって本来は問題ではないことを問題にしていることがあります。意図的か意図的ではないかを問いません。
結局、ある時点で「会議の場」に残っていた「参加者」「解決案」「問題点」というゴミによって 組織の意思決定はされるのです。
そして、この意思決定によって問題が解決されることも実際にあります。問題が無かったのに解決策が実行されて、組織によい影響を与えることもあります。
もちろん、実際に問題があったのに放置されてしまう場合もありますが、たいていの場合はゴミ箱をひっくり返した段階では、その問題は忘れられているでしょう。