省エネを進めるときに技術革新のジレンマに直面することがあります。
過去から現代まで、数多の技術革新がおこなわれて、機器や装置の省エネ性能は向上を続けています。照明はLED化が進んでいます。LED灯は蛍光灯や水銀灯のような放電灯と比較してエネルギー消費効率は1/2~1/8に改善されています。電気式空調機器はヒートポンプの性能向上によって20年前の機種と比較してエネルギー消費効率は1/2です。
情報化社会の進展が各国の電力事情に大きな影響を与えるようになってきました。
コンピューターをはじめとするIT機器のエネルギー効率は大幅に改善しています。しかし、IT機器のボリュームが効率改善のペースをはるかに上回って増えてきました。
さらに、生成AIの普及によって、このペースは加速しています。
千葉県印西市に建設中の「DPDC印西パーク」は、27万㎡の敷地に14棟、延べ面積は33万㎡というデータセンターです。東京ドームなら7.5個分、サッカーコートなら42面分。膨大な規模ですね。
データセンターなど情報機器は膨大な電力を使います。今日現在、日本の総電力需要の2%近くを情報機器が占めるそうです。身近なところでは、使っているパソコンの電力消費なんか気にすることはないですが、日本国中では1500万台のデスクトップPCと5000万台のノートPCが働いているので、総量は大きくなります。
情報化が進んでいるアメリカ合衆国本土では、既に電力需要の5%がサーバーなどの情報機器で占められています。今後も、省電力化の技術革新は進んでいくという予測ですが、指数関数的に増加していく装置の数の前には、なかなか太刀打ちできません。