老(ロウ)イング・マイ・ウェイ を貫くのは難しいけど

新型コロナ感染症によって平均寿命が短くなったというのは、ちょっとフェイクです。

 

【昨年7月のNHKニュース】2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となりいずれも2年連続で前の年を下回ったことが厚生労働省のまとめで分かりました。厚生労働省は「新型コロナで死亡した人が増加した影響が大きかったのではないか」としています。ちょっと微妙なフェイクです。

 

日本人の平均寿命
日本人の平均寿命

日本人の平均寿命が短くなったのは、確かに「新型コロナ」の影響です。

しかし、新型コロナ感染症の影響が主体ではなく、新型コロナを理由にした行動制限による生活習慣の悪化による影響のほうが大きいのです。

 

厚労省は5年に1度、日本人の「生命表」を作成します。最新のものは2020年で、その前は2015年です。それ以外の年には「簡易生命表」をつくります。0歳の平均余命が平均寿命です。

 

2020年と2022年死亡率の差
2020年と2022年死亡率の差

2022年の簡易生命表と、2020年の生命表を比較すると、男性の平均寿命は81.56歳から81.05歳と0.51歳短くなっています。

 

平均寿命の算定の基になる年齢毎の死亡率でみてみます。例えば、20歳の男性が1年間に死亡する確率は2020年には0.044%でした。2022年は0.043%です。20歳の男性でも2270人に一人くらいの割合で亡くなる人が出ます。(2015年は0.045%)

 

50歳の死亡率は、2020年が0.243%(2015年は0.266%)で2022年は0.242%です。2022年の死亡率は50歳未満の年齢層では低下しています。一方で、高齢者、とりわけ後期高齢者で死亡率が増加しています。

 

人の全年齢死亡率は今のところ100%で、死なない人はいません。

一般に感染症によって亡くなる人が増える場合は、全年齢層あるいは若年層の死亡率が増加します。一方で、何らかの要因(経済的あるいは社会不安など)で生活習慣が悪化して亡くなる人が増える場合は、高齢者の死亡率が増加します。

 

またぞろ、コロナを蒸し返す専門家が出てきましたが、「老(ロウ)イング・マイ・ウェイ」で健康長寿を全うして欲しいものです。 でも、現実にはかなり難しいですね。