元日の能登半島地震で水道管が壊れて広範囲且つ長期間の断水が発生しました。
能登半島地震では石川県内で最大11万4千戸で断水が確認されました。
この規模はそれほど驚かないのですが、復旧作業がなかなか進まず、4月初めでも7千戸くらいの断水が継続し、半年が経過した現在でも完全復旧に至っていません。
あまり長期間の断水が続くと困るので、その原因を把握したうえで、何らかの対応をとることが必要です。
一般的な水道施設の要素は、➀配水管、➁浄水施設、➂配水池の3つです。
但し、稀な例として2018年の西日本水害の際の沼田川水系の断水のように取水設備の破損というもあります。
水道施設の耐震化というのは、少しづつ進んでいます。しかし、能登半島のような人口が少なく、且つ地震のリスクが比較的低い地域では、配水管の耐震化の進み方が遅くなっています。
配水管の耐震適合率は全国では42.3%です。最も耐震適合率が高いのは神奈川県の73.6%、2位は東京都66.8%、千葉県、愛知県までが60%以上です。
逆に耐震化率が最も低いのは高知県24.6%、以下、岡山県。秋田県、鳥取県、佐賀県、徳島県、鹿児島県までが30%未満です。
つまり、大都市圏では耐震化率が高くて、地方では低いという傾向があります。石川県の配水管耐震化率は37.9%で全国平均を下回っていました。尚、山口県は47.4%です。
石川県はダメだなぁと簡単に言ってはいけません。実は石川県の浄水場の耐震化率は76.1%で全国1位です。2位は神奈川県の73.3%、京都府の73.0%までが70%超です。
実は、浄水場の耐震化率が全国で最も低いは意外なことに東京都の13.2%です。東京都には日本の人口の11%が住んでおり、浄水施設能力も全国の10%強が集中しています。一つの浄水場の能力が日量100万㎥を超える巨大な浄水場が4つもあります。
東京都の浄水場の耐震化率が改善されないのは、耐震工事をおこなうには大なり小なり給水を制限しないといけないからです。つまり、多くの人口に水道を供給する大浄水場ほど、工事がやりにくいというわけです。東京都は2011年の東日本震災を受けて、2030年まで耐震化率60%以上にするという目標を立てているようですが、実現は難しそうです。
尚、石川県の配水池の耐震化率は63.6%で全国平均(63.5%)とほぼ同じです。配水池の耐震化率は概ね配水管と似ていて、都市部で高く地方で低いという傾向があります。
結論として、能登半島地震での断水では、配水管の耐震性についての検証が必要なようです。しかし、この地震のように、近くそのものが大きく動くような地震の場合、ダクタイル管に可撓性の高い継手を採用したような耐震管でも、破壊を免れなかった可能性もあります。
現時点ではまとまった報告がされていないようです。今後の解析を注目しています。
一方で、首都東京の浄水場の耐震化をどうしていくのかは、頭の痛い問題です。