バイオマス発電の燃料。ベトナムから輸入でいいのか?

訪問した工場の近くで、長府バイオマス発電所(75MW)の建設工事中でした。来年2025年の運用開始予定で、外観はほぼ出来上がっています。

 

バイオマスの活用拡大はカーボンニュートラル達成への大きな要素です。バイオマス発電は秘かに発電量を拡大していて、2022年の実績で日本の総発電量の3%を超えています。発電事業者のトップ3は、日本製紙、大王製紙、王子製紙の製紙3社です。以下、4位が福島いわきバイオマス発電所、5位が中国電力です。

 

環境省 バイオマス発電
環境省 バイオマス発電

中国電力の場合は、バイオマス専焼ではなく既存の石炭火力発電所を改造してバイオマスを混焼しています。

山口県では、下関市彦島に九電みらいエナジーが下関バイオ発電所(75MW)を2022年に運用開始しています。 

 

バイオマス発電が普及していくのは良いことだと思います。しかし、これらの発電に使われることが多い木質ペレットの最大の供給国は、驚くべきことにベトナムです。

 

ベトナムは国土面積33万㎢で森林面積は40%強の14万㎢です。日本は国土37万㎢で森林面積25万㎢ですから、自国より森林資源の乏しい国から輸入しているわけです。

 

しかも、日本のバイオマス発電所の新設ラッシュに伴って、ベトナムからの木質ペレットの輸入量は増加しています。2023年には260万トン(以下、カナダ160万トン、アメリカ125万トン)がベトナムから輸入されています。

 

森林大国の日本ですから、なんとか自国のバイオマスを使いたいところです。

 

現在の日本のバイオマス発電所は原料調達の関係でほとんどが海に面した場所にあります。自国の森林資源をうまく活用するためには、森林の近くに小規模なバイオマス発電所をつくってエネルギーの地産地消を進めていきたいと思います。

 

このときのネックが送電網の整備です。太陽光発電の場合でも課題でしたが、山間部で発電した場合には送電線を曳くコストがべらぼうに掛かります。このために事業を断念するケースが数多くありました。国土強靭化の構想とも並立するので、送電網整備を進めていってはどうでしょうか?

林業振興にも過疎地対策にもなると期待できると思います。