今でも「鉄は国家なり」なのだろうと思う

「鉄は国家なり」は、1862年にプロイセン首相ビスマルクの言葉です。

 

1862年において、ドイツは35の領邦国家(プロイセン・オーストリア・バイエルンなど)と4つの自由都市(フランクフルト・ハンブルクなど)で構成された連邦でした。ドイツ統一を主導したのがビスマルクです。

ビスマルクは、「(ドイツの統一は)演説や多数決によってではなく、鉄と血によってなされるのです」と語り、鉄血宰相と呼ばれました。

 

ビスマルクのプロイセンは1866年に普墺戦争でオーストリアを破り、ドイツ連邦を解体した後、1870年に普仏戦争へと向かい、1871年に形式的にはドイツ統一が成立します。

 

USスチール Webサイトのホーム画面(2024.5.2時点)
USスチール Webサイトのホーム画面(2024.5.2時点)

日本製鉄によるUSスチールの買収が進んでいます。USスチールのWebサイトを閲覧すると、既にトップ画面でNIPPON STEELとUnited States Steelが並んで表記されています。

 

日本製鉄とUSスチールの統合には、アメリカ大統領選挙の思惑も絡んで、今後も紆余曲折が予想されています。

 

一方で、世界の鉄の半分は中国で生産され、消費されています。ロシア・プーチンの暴走を止められないまま、混沌とした世界が広がっていきます。習近平の中国では、鉄の消費を落とすことはしないでしょうし、鉄をつくることを減らすこともなさそうです。

 

今でも「鉄は国家なり」は、至言だと思います。日本と米国を除けば、西側諸国であっても製鉄産業は事実上は国営か国営に近い存在です。

日米の協調が進めばよいのですが、私的企業の両社だけでは、なかなか難しいかもしれません。日本の政治力に期待したいところですが、ちょっと無理そうですね。