小規模トラック運送業は26年連続赤字って!?

NHKニュース「全国のトラック運送業者 57%が赤字」:全国のトラック運送業者でつくる団体が会員事業者の経営状況を分析した結果、57%が赤字となっていることがわかりました。

 

「営業損益率」をトラックの保有台数別でみると、101台以上では平均でプラス1.7%と黒字だったのに対し、11台から20台は平均でマイナス1.2%と6年連続の赤字、10台以下は平均でマイナス3.6%と26年連続の赤字でした。

う~ん、26年連続赤字ってなんだ???

 

NHKニュース「トラック2024年」
NHKニュース「トラック2024年」

もちろん、26年間も赤字で経営を継続することは不可能です。営業段階では赤字ですが、営業外収支を加えた経常利益ではかろうじて黒字を計上できていたというわけです。

 

日本中の一般貨物運送事業者2826者を単純平均すると・・・

営業収益が243百万円、営業損失2.2百万円(-0.9%)ですが、営業外収支が3.75百万円のプラスなので、経常利益1.5百万円(0.6%)となっています。

 

トラック運送業では、一定程度大きい営業外収支が毎期見込まれているということです。営業外収益の内容について、詳しく分析した資料は見当たりません。

 

受取利息配当金など金融収益がこんなにあるとは思えないので、資産や廃棄物などの売却益が最も大きい割合を占めると予想します。

 

中小トラック運送業の場合、車両が余ったり、形式の異なる車両と入れ替える場合に保有するトラックを下取りに出すと、簿価以上の値段がつくのが一般的だと思います。バッテリーやタイヤも下取りしてもらえるケースがあるようです。

 

また、車両や荷物に係る事故での保険金も営業外収益になります。保険金というと、悪いことのように思いますが、運送事業者は営業経費として、毎期大きな保険料を支払っています。

およそ運送収益の2%が保険料です。何かのときには、保険金を受け取るのは当然です。保険金は営業外収益になります。

ちょっと調べてみると、トラック運送業のような業務用車両の場合、保険料100に対して保険金70くらいに収れんするようです。損害保険会社の経費と収入が30というわけです。

 

いずれにしても、トラック運送業の経営が厳しいことは間違いありません。事業者が真剣に収益改善に取り組むことはもちろんですが、2024年問題がトラック運送業の経営環境を更に悪化させることが無いように、国や自治体、荷主や元請事業者、業界団体などが一致して取り組むことも大事です。物流、陸上輸送は国の根幹です。