日本の帽子つくりに再興のチャンスがくるか

商店街で生まれて育ちました。小学校の同級生の半分くらいが店の子でした。

 

Kの家はミシン屋。当時は足踏みミシンが現役で、電動ミシンが徐々に普及していた頃です。

Iの家は自転車屋。お父さんが手際よくパンク修理してくれました。

Mの家はタンス屋です。家具屋ではなくてタンス屋で、タンスばかりが並んでいました。

肉屋のNは太っていました。八百屋のSは背が高いけど痩せてました。魚屋のSは足がめっぽう速かった。まだ、スーパーマーケットが無い時代です。

 

帽子屋
帽子屋

Nの家は帽子屋でした。帽子屋といっても、売っているのではなくて、お父さんが帽子をつくっていました。

店には、いろいろな木型があって、フェルトか何かを縫っていたり、専用のアイロンで形を調えたりしていました。半世紀以上前のことです。

 

そういえば、当時の男性はみんな帽子を被っていました。

勤め人はたいていソフトハットを被っていて、夏になるとストローハットも目にしました。店の人はワークキャップを被っている人が多くて、ハンチングやベレー帽を使うオシャレな人も結構いました。子どもも学生帽や野球帽を被っている子が多かったですし、老人もたいていは何かの帽子を被っていました。

 

その後は、若い男性では長髪の人が増えたことなどによって、男性が帽子を被る機会がかなり減ってきたように思います。私も工場訪問時の作業帽と、ランニング用キャップ以外では帽子を被ることはありません。

また、そんな実用的な帽子の多くは、海外の工場でつくられています。(タグを確認したら、私の作業帽は中国製で、ランニング用キャップは日本製でした。)

 

世界の帽子市場は現在250億米ドル(約3.7兆円)で年率7%の伸びで、10年間に2倍になる予想です。日本製の帽子は品質やデザインで海外からの評価が高く、海外からの旅行者が購入する機会が増えているそうです。

 

日本のものづくりとしての帽子産業の将来展望はどんなものなんでしょうか?ちょっと気になります。

 

【参考】帽子の出荷額 <工業統計表:2020より 従業員4人以上の事業所>

織物製帽子 : 2019年は96.94億円(前年比 ▲8.35億円)

その他の帽子: 2019年は54.35億円(前年比 ▲10.23億円)

麦わら製帽子: 2019年は14.35億円(前年比 ▲0.10億円)