人の健康を増進させる食品ということは、身体に何らかの変化を与える食品ということです。その変化がよい方にでるのか、悪い方にでるのかは、人それぞれです。一般に、健康食品は健常者にとっては有益あるいは無害です。しかし、病気の方や体調が悪い方にとっては、健康食品はあらゆる食品のなかで最もリスクが大きい食品です。
小林製薬の紅麹を使用した製品で、健康被害が発生している可能性があります。因果関係が立証できた段階ではないので、現時点では疑いや懸念があるという段階です。
紅麹はカビの一種ですが、古来からその有用性は理解されていました。中国大陸で紅麹の生産がはじまったのは600年以上前のことです。食品の着色や防腐といった機能が知られています。
紅麹菌がつくるコレステロール合成阻害物質のモナコリンは血中コレステロールの抑制に、亢進ホルモン放出抑制効果のあるγアミノ酪酸(GABA)は血圧上昇の抑制に、それぞれ効果が高いことが知られるようになりました。紅麹は、安全で効果の確定した、健康食品として、広く利用されるようになってきました。
今回の小林製薬の紅麹製品による健康被害情報の詳細は、今の時点ではわかっていません。しかし、健康食品が人の身体に作用する物質を含んでいることは確かです。
消費者は、厳密な安全性評価がおこなわれ、安全が確立されているはずだと考えます。もちろん、生産者は安全性の評価をおこなっていますが、その評価の対象は健常者に限られます。何らかの治療効果を期待する医薬品ではないので、病気の人を対象にした安全性評価はほとんど行われません。
繰り返しですが、健康に自信が無ければ、健康食品は避けるのが賢明でしょう。