ハイチのアンリ首相が退任して、内閣は総辞職するそうです。文字通りの無政府状態です。
外務省が危険レベル4(渡航禁止・退避勧告)に指定しているのは、アフガニスタン、ウクライナ、シリア、イエメンなどニュースでしばしば取り上げられる現に戦争や紛争がおこなわれている国。アフリカのスーダン、ニジェール、ソマリアなどの国です。
南北アメリカで唯一指定されているのがハイチです。
ハイチ共和国はカリブ海のイスパニューラ島の西側1/3を占めます。スポーツではサッカーが盛んです。
イスパニョーラ島の東側の2/3はドミニカ共和国です。ドミニカは野球の強豪国で、MLB選手を多数輩出しているだけでなく、広島カープのアカデミーもあります。
今日現在、両国の経済や社会には大きな差異が存在します。
ハイチは1804年に中南米最初の独立国として誕生したのですが、その当初から独裁、政変、軍事クーデターなどが繰り返し起こり、内政上の混乱が続いてきました。
そんななか2010年1月に首都ポルトーフランス近郊で巨大地震が発生します。この地震による死者は32万人といわれます。死者数では大正関東大震災の3倍、東日本大震災の14倍というとてつもない被害がでました。
内政の混乱は拍車がかかり、選挙の実施ができず、2020年1月には上下両院議員20名が失職します。同年7月にはモイーズ大統領が武装グループに殺害され、大統領も空席となります。
急遽、元モンペリエ大学の医学部教授で当時社会労働大臣だったアンリ氏が首相兼大統領代行に就任しました。
2021年8月、再びハイチを地震が襲い、死者2248人、被災者15万人の被害がでました。その後は、武装グループや暴徒による社会騒擾事案が頻発しており、社会経済活動の多くが麻痺しています。大統領官邸や警察施設が襲撃され、刑務所からは4000人が脱走しました。今年1月には残る上下両院銀の任期も切れて、全ての議員が失職しています。
アンリ氏も現在はプエルトリコに滞在しているとのことです。アメリカを中心とする国連の介入によって治安維持が図れるものか、世界が注視しています。