外国人観光客が増加していますが、国内旅行者の増加には、産業観光は有力です。
ちょっと古い資料ですが、平成19年に国土交通省がつくった「産業観光ガイドライン」を参照してみます。産業観光といえば「工場萌え」のような近代的設備の大工場を外から眺めることが想像されますが、いろいろな種類の産業観光があるようです。
宇部市・山陽小野田市・美祢市の3市では、毎年「産業観光バスツアー:大人の社会派ツアー」という企画が開催されています。
今年の例では、「美祢市にある石灰石の巨大鉱山を見学した後、日本一の私道・宇部興産の専用道路を通って宇部興産の工場へ」、「自動車リサイクル工場を見学した後、秋吉台サファリパークのバックヤード見学」、「秋吉台カルストで、ごぼうの収穫と椎茸の摘み取り体験」など、18のコースがあります。結構な人気があるようです。
国交省のガイドラインでは、産業観光を以下のようにタイプ分けしています。
1.工場見学型
2.産地振興型
3.一般観光型
4.モノづくり人材育成型
5.リクルーティング型
観光の目的が、モノからコトへ、観るから体験するへ、知るから学ぶへ、と変化していきます。産業観光はますます需要が伸びてくるようです。地域振興としての産業観光もありますが、企業としては人材獲得という重要な目的にも合致しそうです。
工場の場合は、部外者が勝手にウロウロすることは好ましくありません。安全上の配慮が必要ですし、技術的な秘密保持の問題もあります。観光に来たのに写真や動画の撮影を制限されてはお客様は納得しません。
逆に考えれば、このような課題をクリアした工場には、多くの観光客を呼び込むことも可能です。いろいろな工場が、来訪者に非日常的な体験を提供して、交流を通じて相互理解を深めることは事業活動にも貢献します。新増設の際には、ちょっと、考えてみてもいいですね。