能登半島地震で多くの建物に被害がありましたが、新耐震基準以降の建築物や、耐震補強を実施した建物では被害が小さかったようです。
地震の揺れに対して建物を守るための対策は主に「耐震」「免震」「制震」の3つです。「耐震」は、建物の構造を強くして地震の揺れに耐える。「免震」は、建物と基礎との間に緩衝装置を設けて地震の揺れを伝えない。「制震」は、建物に制御装置を組み入れて地震の揺れを吸収させる。という方法です。
最も新しい技術は「免震」です。能登半島地震のエリアでは、免震構造の建造物は数少なかったのですが、七尾市の中核病院である恵寿総合病院の本館が免震構造でした。本館以外の建物は使用できなくなりましたが、免震構造だった本館に地震の被害が無く、医療が継続できたということです。
「免震」は地震に対して効果があるのは確かですが、既存の建物に付加できません。新築か建て替えの時でないと実施できないので、すぐに普及していくということはなさそうです。時間を掛けて、病院など重要な施設には、順次導入していくことが大事です。
耳に馴染の「耐震」ですが、構造に関してはかなりの効果があったようです。特に鉄筋コンクリート(RC)造の建物では、地盤軟弱地域で不同沈下があった場合でも建物はほぼ大丈夫でした。鉄骨(S)造の建物では、一部に不同沈下の影響を受けた建物もあったそうです。
「耐震」で構造は堅牢となり、倒壊したりはいません。しかし、構造以外の壁や天井は耐震補強となっていないケースがあって、被害が発生しました。避難所に指定されていた体育館の釣り天井が落下するような事例です。
照明器具の落下、外階段の崩落、渡り廊下の柱や天井の破損、外壁の落下、空調機器や雨樋等の落下などで被害がありました。細かくみていかないと、なかなか難しい問題です。