元日に起きた能登半島地震の被害状況が1か月を経過して徐々にはっきりしてきました。
死者約240名、住宅の全半壊5600戸という甚大な被害です。東日本大震災の死者数は2万2千人を超えますが、大半が津波による溺死で、地震による圧死は650人くらい、火災による焼死が150人くらいです。東日本大震災でも、地震の揺れそのものによる死者数はおよそ800人なので、過疎地域の奥能登での240名は大変な状況であったことがわかります。
今回の地震の特徴は、非常に大規模な地殻変動があったことです。 最大約4mの隆起があり、輪島港が使用できなくなる、国道が寸断されるなど、甚大な被害がでています。
また、右の地図(国土地理院の地殻変動表示サイト)にあるように水平方向にも約3mの移動が観測されています。
特にこれだけの大きな隆起は、珍しいことだったようです。予測するのは難しいことなのだと思います。
能登半島北東部では2018年6月頃から地震の発生が増えていました。
2021年9月にM5.1(震度5強)、2022年6月にM5.4(震度6弱)、2023年5月にM6.5(震度6強)と、大きな地震が発生していたうえで、1月1日に今回のM7.6(震度7)の地震が起こったわけです。
今回の大地震の場合、先行して顕著に大きな地震が複数発生しており、且つ徐々にその規模が大きくなっています。そこで、政府は文部科学省と金沢大学・京都大学・東京大学などと、地震についての総合調査を実施しています。
そのレポートでも地殻変動が大きくなっていると指摘されています。但し、この時点では1年間の地殻変動が水平方向に1.5㎝、垂直方向に2.0㎝の地殻変動がみられていただけです。
このデータから、半年後に垂直方向に4m(400㎝)と200倍規模の地殻変動が起こると予想はできなかったでしょう。
これほど大きな地殻変動であれば、どんなに揺れに強い耐震建築でも倒れてしまいそうです。東京や大阪のような大都市で、高層ビルの倒壊などといった事故が起きないか、少し心配しています。地殻変動の観測で、仮に数㎝であっても変動幅が拡大しているような場合は、用心をしておくべきでしょう。