働き方改革が進み、夫婦共稼ぎが一般的になったため、企業としては転勤指示には慎重にならざるを得なくなっています。
Yahoo!の記事「都内出身ですが、車必須の豪雪地帯に「転勤」と言われました。雪道の運転が怖いし不便そうなので、拒否しても問題ないでしょうか…?」というのがありました。ちょっと前であれば、何を言っているのか?とポカンとするところですが、今ではこうした主張は普通のことで、会社側としても配慮が必要です。
働き方改革で目指しているワーク・ライフ・バランスは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域社会などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義されています。
会社が従業員に転勤を命じる場合には、次の4要件が満たされている必要があります。
1つ目、労働契約や就業規則などに転勤を命ずることができる規定があること。
2つ目、転勤に業務上の必要性があること。
3つ目、転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされていないこと。
4つ目、労働者が”通常甘受すべき程度を著しく超える不利益”を負わないこと。
最初の3つは至極当然で、これまでも問題になることはなかったでしょう。考えないといけないのが4つ目の”通常甘受すべき程度”です。
「雪道の運転が怖い」は、通常甘受すべき程度の不利益かどうかです。共働きの妻との別居はどうでしょうか?まぁ、これくらいなら通常甘受すべき程度と言えそうです。
しかし、例えば前者の場合では低血糖症や重度の睡眠障害で車の運転に不安がある人の場合はそうでしょうか?。後者の場合では、妻に何かの障がいがあるとか、病弱な子供がいるとかの場合は検討しなければならないでしょう。
但し、これらのことはプライベートな情報なので、会社の人事部門が把握していない、あるいは把握していてはいけないことでもあります。したがって、転勤命令を内示した後で、「実は・・なので、転勤したくない」と言われて、驚くようなことにもなります。
転勤や配転には少し長い時間が必要になっているわけです。時代の変化は激しくなる一方ですから、なかなか難しいことになっています。