「図書館や書店といった本を気軽に手にとれる場所があるかどうかで、地域格差が生じている。」と新聞が書いています。
全国の自治体のうち、公立図書館が設置されていないのは23%。書店がない自治体が26%ということです。市で公立図書館が無いのは9市だけということなので、図書館や書店がない自治体というのは、小規模な町村ということです。
尚、山口県には13市6町ありますが、公立図書館がないのは阿武町だけです。和木町・上関町・田布施町・阿武町の4町には書店がありません。
新聞では地域格差とありましたが、山口県の場合をみると、実態は異なります。
図書館も書店もない阿武町は、周りを全て萩市に囲まれている町(平成の大合併で単独町政を選択・人口3000人)です。阿武町民は萩市立図書館を利用できますし、町民文化ホールの図書コーナーでは県立図書館の蔵書を借りることもできます。
書店がない和木町は単独町制を選択しましたが、面積が小さく(10㎢)、行政以外は岩国市(873㎢)の一部です。田布施町も同様で、光市と柳井市にはさまれた面積の小さい(50㎢)町です。上関町は人口2200人ほどです。
図書館や書店がなくても、あまり困るというわけではないですし、地域格差と目くじら立てることもなさそうです。
そもそも、昔ながらの図書館や書店が、今後も必要なのか?という疑問もあります。公立図書館の建物は多くがバブル期に建てられていますから、そろそろ耐用年数を迎えてきます。老朽化で、改修や建て替えが必要になりますが、旧態依然とした形で残す必要は薄そうです。
デジタル化の進行によって、今では世界中のあらゆる情報に、書籍や雑誌その他紙資料に限らず、瞬時にアクセスできるようになりました。しかも、自分が求める情報は、図書検索サービスを利用しなくても、AIを使って過不足なく手に入ります。
これからの公立図書館の役割は、郷土の歴史資料の保管といった限られたものになっていくと予想されます。郷土資料館とか博物館との棲み分けは考えなければなりません。