卑弥呼は姿を見せないおばあちゃん

魏志倭人伝は、今から1800年ほど前の中国の正史「三国志」のなか「魏志・東夷伝-倭」で、日本に関する現存する最古の文献のひとつ。

 

邪馬台国の位置についての論争が有名ですが、女王卑弥呼についても書いてあります。卑弥呼は、日本を治めていた女王であり、且つ「ヒミコ」という音の印象から、割合に若くて健康的な女性をイメージしがちです。実際は、とても高齢のお婆さんでした。一人の男性が秘書役を務めており、それ以外の人が姿をみることはほとんどできませんでした。

 

卑弥呼ちゃん(朝倉市)
卑弥呼ちゃん(朝倉市)

魏志倭人伝で卑弥呼が登場する段です。

 

「其國本亦以男子為王 住七八十年 

倭國亂相攻伐歴年 乃共立一女子為王 

名日卑彌呼 事鬼道能惑衆 

年已長大 無夫壻 有男弟佐治國

自為王以來少有見者 以婢千人自侍 

唯有男子一人 給飲食傳辭出入居處

宮室樓觀城柵嚴設常有人持兵守衛」

 

其國本亦以男子為王 

☞ その国(邪馬台国あるいは倭国全体を表すか?)は元々男子を王としていた

※ これより遡って金印を送られた委奴国王も男性

 

住七八十年 倭國亂相攻伐歴年

☞ 70~80年前に、倭国は騒乱状態になって10年近くも戦いが続いた(倭国大乱)

乃共立一女子為王 

☞ そこで女子を王に立てた

名日卑彌呼 

☞ 名を”ヒミコ”という(卑弥呼という文字は、中国の方が聞き取った音に文字を当てたもの)

 

事鬼道能惑衆

☞ 彼女は鬼道に通じていて、人々を惑わした(鬼道が何を意味するかは不明。初期道教あるいは古代神道という2説が有力か?)

年已長大 無夫壻 

☞ 年齢は大変な年寄りで、夫はいない

有男弟佐治國 

 ☞ 男子の弟がいて、国を治めるのを助けている

 

自為王以來少有見者

☞ (卑弥呼が)王になってから、会った人は(姿を見た人は)少ない

以婢千人自侍 

☞ 召使1000人が卑弥呼に仕えている

唯有男子一人 給飲食傳辭出入居處

☞ 1人だけ男子がいる 食事を運んだり、伝言を伝えるために居所に出入りしている

宮室樓觀城柵嚴設常有人持兵守衛

☞ 宮殿や見張り台には柵をつくり、いつも武器をもった守衛がいる